米国エリート学生が患う「アヒル症候群」の実態

米国エリート学生が患う「アヒル症候群」の実態

水上を優雅に泳ぐように見えるアヒルも、水面下では、溺れないように必死に足を動かしている。

このような状態は「ダックシンドローム(アヒル症候群)」と呼ばれ、米国のエリート大学生の多くが陥っているという。

米スタンフォード大学で教鞭をとる「マインドフルネス」研究の第一人者、スティーブン・マーフィ重松氏が、2016年6月10日、早稲田大学高等研究所にて講演を行い、トップ大学が抱える重要課題に言及した。

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 「スタンフォードの学生たちは、世界一スタイリッシュに見える。しかし、彼らが表に見せている顔と、心の中とは全く違う。常に精神的な重圧と戦っているのだ。」

今、GoogleやAppleをはじめとする企業がこぞって採用していることから、ストレスコントロールの具体策として、「マインドフルネス」が、脚光を浴び始めている。

大学でも、大きな問題となっている「ストレス」。その実態と、「マインドフルネス」の役割について、マーフィ氏に尋ねた。

スタンフォード生の過半数が、心の悩みを抱えている!?

米国のNational Alliance on Mental Illnessの調査によると、同国の大学生のうち、2人に1人は精神不安を抱えており、約10人に1人は自殺を考えたことがあるという。

  • 25% have mental disorder(25%が精神障害を抱えている)
  • 30% report depression(30%が鬱の症状を訴えている)
  • 50% report anxiety(50%が精神不安定だと感じている)
  • 80% felt overwhelmed(80%が精神的に追い詰められている)
  • 7% considered suicide(7%が自殺しようと思ったことがある)

National Alliance on Mental Illness

高校時代には、周囲から優秀だともてはやされ、トップ大学に入学し、意識の高い学生たちの集うキャンパスで、理想のスタンフォード生を演じ続ける。その裏には、取り残されまいと、寝る間を惜しんで勉学に励む努力がある。

まさに、湖上のアヒルと同様だ。マーフィー氏は、「ダックシンドローム(アヒル症候群)」と呼ばれるこのような状況下で、学生の本来の力が発揮されるはずはないと考えている。そこで、マインドフルネスを自身の授業に取り入れたのだ。

ビギナーズマインド(初心)が成長の秘訣!

「初心者は、果てしない可能性を秘めている」

マーフィー氏は、いつも授業の冒頭でこう切り出し、ビギナーズマインドを持つことの大切さを学生に教え、実践している。

「知らないことは恥だ」とされる大学の教室の中で、いつもベストパフォーマンスを発揮しようと必死にもがき苦しむ学生たち。パーフェクトな学生を演じ続ける中で、本来の目的を見失い、モチベーションまで失ってしまう学生も少なくないという。

マーフィー教授は、そんな学生たちに、学ぶ意味や意義を丁寧に説き、一人ひとりと向き合い続けている。

自分は何者なのか、ありのままの自分をポジティブに受け入れた上で、「自分は初心者だ」と心をひらくことが、人生を豊かにすることにつながるとマーフィー氏は語っていた。

日本も例外ではなく同様の問題は起きている。学校教育に禅を取り入れている例もあるが、教育改革を大きく実行していくにあたっては、「マインドフルネス」への理解を深める必要もあるだろう。

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