潜入!米国の巨大教育会議「NACACカンファレンス」

潜入!米国の巨大教育会議「NACACカンファレンス」

教育関係者であれば、National Association for College Admission and Counseling(通称:NACAC)の名前は押さえておきたい。NACACは、主にアメリカの大学のアドミッションオフィサー、高校の進路カウンセラー、教育関係企業が、情報とナレッジを共有・交換し、自分たちのネットワークを広げることで、法人・組織間の利害関係を超えて、大学、高校、民間教育機関が連携しながら、生徒により良い教育と機会を提供することを目的としたアメリカ最大の教育組織だ。

毎年、大規模のカンファレンスを主催することで、教育現場が抱える多くの課題を参加者全員で共有し、高校・大学・企業それぞれの立場で得られた経験を活用することによって、アメリカ全土の教育を、地域の垣根、公教育と民間教育との垣根を越えて、全員参加で改革・改善する機会を設けている。

2015年の年次総会は、米サンディエゴにて、10月1日〜10月4日の4日間にわたって行われ、高校のカウンセラーと大学のアドミッションオフィサー等、約7000名が参加した。その中に、たった一人、日本人として私も参加した。

カンファレンスは、リピーターはもちろん、初めて参加する人も多いようだったが、初めての参加者に対しては、オリエンテーションが用意されるなど、排他的でない、ウェルカムな雰囲気が漂っていた。

会場では久々の再会を喜ぶ姿など、1つのコミュニティとして機能していることもよくわかった。首からぶら下げているネームプレートの色で、その人の所属組織が、大学なのか、高校なのか、自営の教育関係者なのか、教育関係の企業なのかわかる仕組みで、自分たちの所属組織、立場、出身地にかかわらず、そのネームプレートを頼りに、盛んにネットワーキングを行っていた。

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●カンファレンスの構成
会場は、大きく分けて、「展示場」「パネルディスカッション」「ラーニングラウンジ」「ネットワーキング」の4つのエリアに分かれていて、朝から夜にかけて、さまざまなイベントが行われた。

【展示場】
広大なホールに大学や企業がブースを出し、最新の教育コンテンツや、現場の現状などを紹介。

【パネルディスカッション】
会場内の15以上の大会議室では、同時並行で、テーマ別のパネルディスカッションが行われた。どの部屋でも、パネリストがトピックに関する基調講演を行い、その後、客席(来場者)とのディスカッションを行うスタイルで、活発な議論が交わされていた。

《今年扱われたトピックの一例》
・An Insider’s Look at Khan Academy’s Free SAT Practice Resources
・How American Pays for College 2015: What Counselor Need to Know
・The Common Application
・Helping International Students and Parents Navigate the US College Admissions Process
・The Trend Toward Gap Year
・The Middle Schooler and College Interest
・Affordability and Outcomes: The Coalition Application
・International Student Retention Begins at Recruitment
・What Admissions Deans Think

【ラーニングラウンジ】
オープンラウンジにて、決められたトピックについて、ゲストスピーカーによるプレゼンテーションがあり、客席(来場者)とインタラクティブにディスカッションを行う。また、オーディエンスの質問に対しては、壇上のゲストスピーカーのみではなく、他のオーディエンスが回答・提案を行うこともあった。

《今年扱われたトピックの一例》
・How to Success at Social Media by Segmenting your Audience
・What is a Regional Recruiter
・Online Tools to Help College Access and Success
・The importance of Campus Visit
・What to Expect When You are Expecting International Students

【ネットワーキング】
展示会場、パネルディスカッションの後、毎日のイベント終了後など、さまざまな場面で、必ず、参加者が自由にネットワーキングを行える機会が設けられていた。

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●2015年のメイントピック
毎年、NACACでは、大学のアドミッションプロセスに関連するさまざまなトピックが、バランス良く扱われている。たとえば、高校での進路指導をどのように行うべきか、低所得層の大学進学をどのように支援するか、学生獲得のリクルーティング活動をどう改善するか、近年の学生の大学への進学状況がどう変化してきているのか、留学生の受け入れ体制をどのように整えていくのか、などが挙げられる。

参加者たちが持ち合う課題に対して、同じ立場・違う立場、それぞれの立場が混在する中で議論し、お互いの経験・知見を共有しあう場となっているのだ。

こういった生々しい現場のトピックを、立場を超えてコラボレーションする仕組みが、日本にはまだない。「高大接続」と叫ぶのもいいが、その前に、教育者たちが盛んにコラボレーションできるプラットフォームを構築することのほうが急務なのではないだろうか。

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