ネット検索時代だからこそ求められる批判的思考力

ネット検索時代だからこそ求められる批判的思考力

数年前から世界各国でこれからの社会を生き抜くために個人に求められる能力の定義が進められている。その中でもとくに「批判的思考力」への注目度が高まっている。

批判的≠ネガティブ

この「批判的思考力」という言葉は「批判」という言葉のイメージから、ネガティブに捉えられがちである。しかし、ここでいう「批判的思考力」とは「より良い思考をおこなうために、目標や文脈に応じて実行される目標志向的思考」であって、決して他者を攻撃するというようなネガティブな思考ではないとされている。

また、もう1つの観点として「批判的思考とは、自分の推論プロセスを意識的に吟味する内省的(reflective)・熟慮的思考である」と捉えられている※1。

※1:これらについては、ベネッセ教育研究所アセスメント研究開発室伊藤素江研究員の記事「批判的思考力とは何か」が詳しい。

インターネットの目的は「検索」

さて、今、日本人の多くが利用するインターネットサービスと言えば検索(検索ポータル)である。ニールセンが2015年12月15日に発表した調査結果「TOPS OF 2015: DIGITAL IN JAPAN」によれば、1位がYahoo!JAPAN、2位がGoogleとなっている。

これは1つの調査結果ではあるが、世代を問わず多くの日本人にとって「インターネットを使う=検索する」という行為は(ほかにも目的があるとしても)あながち間違っていないだろう。つまり、今、日本人の多くは検索を目的にインターネットを利用するのだ。とくにスマートフォンでの利用率はYahoo!JAPAN・Googleとも昨対で19%増とその傾向は高まっており、今後もその動きが続くと見られる。

「検索」と「検索結果」との付き合い方

ここで、「検索」という行為、とくに「キーワード検索」を考えてみよう。

キーワード検索は、そもそも自分が知りたい(解決したい)と思っていることについて、自分が知っている範囲のキーワードを使って検索するものだ。つまり、検索開始段階で自分が持っている知識の範疇からスタートする。言い換えれば、答えの幅が狭められている。さらに、Yahoo!JAPANやGoogleが提供する検索サービスでは、ユーザの過去の検索履歴や関心事に合わせた結果を推奨して表示する仕組みを持っている。こうした状況から、キーワード検索によって表示される検索結果は「自分が本当に求めていた情報」ではなく、「数多ある情報のうち、潜在的に自分にとって都合の良い情報から選ばれた、自分に有用な(あるいは有用かもしれない)情報」になる可能性が高い。

しかし。

その検索結果は本当に正しいのだろうか? 自分が求めていたものなのだろうか? 実は別の結果があるのかもしれない。それは、ネットの中にあるかもしれないし、ネット以外の場所にあるかもしれない。

本当に正しい情報は何か?必要な情報は何か?

今、インターネットを通じて誰もがたくさんの情報に手軽にアクセスできるようになった。さらに検索をすることで、自分が知りたい(と思う)情報を見つけられる。ときに自分の知識以上の情報に触れられる。極端な言い方をすれば、検索すらしなくても情報が集まってきてしまう時代だ。それが自分にとって正しくても正しくなくても、必要でも必要じゃなくても。

だからこそ今一度考えてほしい。

自分が触れているその情報は本当に正しいのか。自分が必要な情報なのか。

これはまさに、自分の推論プロセスを意識的に吟味する内省的・熟慮的思考、すなわち「批判的思考力」にほかならない。

情報が氾濫しているネット検索時代の今、求められるのは「批判的思考力」なのである。

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