大学入学共通テスト(仮)で問われる力とは

大学入学共通テスト(仮)で問われる力とは

2017年5月16日、文部科学省が高大接続改革の進捗状況について公表しました。

そこでセンター試験に代わって2020年度から実施される「大学入学共通テスト(仮)」の国語の記述式のモデル問題が発表されたのですが、一部の問題について、大学入試レベルとしては簡単すぎるのではないかと思われた方はいないでしょうか。

■小・中学生でも解けそうな問題

私が簡単だと思ったのは、次の架空の市の景観保護ガイドラインに関する問題(問題例1)です。まずは一度解いてみてください。

「大学入学共通テスト(仮称)」記述式問題のモデル問題例(PDFデータ)より)

いかがでしょうか。

読む文字量は多いですし、複数資料を読解しなくてはならない点では、高校生向けなのかもしれませんが、小中学生対象の全国学力テストでも似たような問題が出ている印象です。

ただ、確かに現行のセンター試験はマーク式ですので、記述力を求められる国公立大学の二次試験や一部の私立大学の試験を受ける生徒以外は、記述の練習をしてこなかった可能性が高いので、この程度の問題が現実的な着地点なのかもしれません。

実際、こちらのモデル問題をモニター約600名が解答した結果が次のようになっています。とくに問3・問4は条件を満たしていなかったり、誤答だったりしており、簡単すぎるというわけでもなさそうです。

「第1回、第2回 モニター調査実施結果の概要について」(PDF)より)

この大問全体の出題のねらいとしては、「架空の行政機関が広報を目的として作成した資料等を題材として用い、題材について話し合う場面や異なる立場からの提案書などを検討する言語活動の場を設定することにより、テクストを場面の中で的確に読み取る力、及び設問中の条件として示された目的等に応じて表現する力を問うた」とのことで、与えられた資料を正確に読み取り、言語活動の場で実際に議論ができる力をはかるために試行錯誤された印象を受けます。

今回より以前に出された資料読解や言語活動が意識されている国語の問題例は、どちらかというと統計資料を読み取るだけで数学や社会科的側面が強いものでした。しかし、今回は多様な資料かつ文章資料が複数あり、全体的にボリューム感も出て進化しているようにみえます。

前回の問題例

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で評価すべき能力と記述式問題イメージ例【たたき台】(PDF)より

■記述量は120字までで収まっている

前回の問題例では、200~300字の記述問題がありましたが、今回は最大120字までに収まっています。これは実際の採点基準が多岐にわたりすぎていると、採点者によってばらつきが生じてしまうという問題をクリアするためでしょう。また、採点するのが国なのか、民間なのか、大学なのかでもめた結果も反映されています。今回は、民間事業者に採点が依頼されました。

調査結果を踏まえ、「具体的な場面を適切に設定することで解答のパターンがある程度限定され、客観性・公平性を確保した採点が見込めることが分かった」と同センターは話しているので、本番でも民間事業者に委託するようです。

平成28年度における大学入学者選抜改革の主な取組等について(PDF)より)

前回出た長文記述問題

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で評価すべき能力と記述式問題イメージ例【たたき台】(PDF)より

■今後は実用的な文章以外も

今回のモデル問題としてあげられたもののもう1つには「駐車場使用契約書」をめぐる問題があり、これはちょうど大学に入って一人暮らしをするような学生には「賃貸契約書」などを交わすときがやってくるので、生活に即した良い問題だと思います。

「大学入学共通テスト(仮称)」記述式問題のモデル問題例(PDFデータ)より)

「国語は2問とも実用的な文章だが、マークシートを含めた全体で評論や小説、古文、漢文も出題しバランス良く取り上げたい」と同センターの担当者は話しているようなので、さらにバリエーションは増えていきそうです。

大学入試改革によって、高校だけでなく、ひいては中学校・小学校の指導内容も変化していきます。引き続き、チェックしていきたいところです。

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