先生を悩ませる保護者のスマホ問題

先生を悩ませる保護者のスマホ問題

  • スマートフォンをいつ持たせる?
  • フィルタリングはどうする?
  • どのアプリを使わせる?
  • 利用する時間はどのくらい?
  • いじめなどのスマホ問題に巻き込まれない?

このような子供のスマホ問題については日々話題に上がっています。

しかし、スマホ問題は子供だけではなく、スマートフォンを利用している誰にでも起こる可能性があります。

保護者間でスマホ問題が起きるきっかけ

個人情報保護法が施行される前後、「住所や電話番号は個人情報らしい」という話が学校や保護者の間で話題になりました。

今では、同窓会名簿やクラスの電話連絡網が作られないところがほとんどです。各家庭間の連絡は、電話ではなくLINEで十分という方も増えています。

携帯電話やスマートフォンは誰もが持っているのでしょうか?
LINEは誰もが利用しているのでしょうか?

平成28年度の情報通信白書では、2015年の通信機器の保有率は携帯電話・PHS 95.8%、固定電話 75.6%、スマートフォン 72%となっています。
この数字を見れば、連絡先の交換は固定電話番号よりは携帯電話番号(スマートフォン含む)となってしまうのも頷けます。

平成27年度の情報通信白書では、2015年の年代別の携帯電話とスマートフォンの保有率は、20代30代では90%以上ですが、年代が上がるとともに保有率が減少していることが分かります。

さて、スマートフォンを持っていると「このアプリ便利なのになぜ使わないの?」という問題に巻き込まれることがあります。

MMD研究所の平成28年5月の「スマートフォン利用に関する実態調査」ではLINEは87.7%ものスマートフォンユーザが利用していると公表されています。

冒頭で「LINEは誰もが利用しているのでしょうか?」と問いかけましたが、この割合を見るとスマートフォンを利用している保護者の多くがLINEも利用していると考えてよさそうです。

こうなると、スマートフォンやアプリを利用していないと、「どうしてスマホを利用しないの?」「どうしてLINEを利用しないの?」などと保護者会やPTAで詰め寄られ、「ちょっとスマホ貸してみて、アプリ入れてあげるから」と言われることもあります。

実際に、「ちょっとスマホ貸してみて」とLINEを入れられた保護者の方は、使わないと決めてスマホからアプリを削除したものの、サービスの退会処理を行っていなかったがために「せっかく入れてあげたのに既読にならない!」と言われてしまったということがありました。

スマートフォンを持つか持たないか、アプリを入れるか入れないかといったことは「スマホ問題」の入り口ともいえます。

保護者間で起こっているスマホ問題

子供たちの間で起こっている既読無視や未読無視、返信が遅いといった問題は保護者間でも起こります。

子供たちがクラスや部活のLINEグループを作るのと同じように、保護者もクラス会や、PTA役員のLINEグループを作ります。
LINEグループの中の揉め事が当事者間で完結すればよいのですが、互いに「○○ちゃんとはあまり遊ばないように」と言い出し、子供にまで保護者の揉め事が波及してしまうことがありました。

写真の取り扱いにしても子供と同じ問題が起きています。
運動会や発表会、参観日といった学校行事の写真を気軽に撮る保護者の方も多く、知らない間に我が子の写真が他の保護者のSNSに投稿されていることもあります。

他の保護者とSNSで繋がっていなければ、我が子の写真がSNSに投稿されていることに気づくこともできませんし、気付いて注意をした場合も「深刻に考えすぎ」「あの人は面倒くさい」と言われてしまうことがあります。

保護者間の揉め事は、学校の管轄外のはずが「○○さんがSNSで……」と先生が聞く羽目になるのです。

子供と共に学ぼう

子供たちは学校でスマートフォンやSNSについて学ぶ機会がありますが、残念ながら、保護者が学ぶ機会はあまりありません。

小中学校の保護者を対象に講演があっても、子供がプリントを出さないと講演会の存在に気づくこともできませんが、日ごろから子供と会話をし、子供たちの間でどのような問題が起きているのかを聞き学ぶことは、どの保護者にもできそうです。

保護者を対象とした講演を学校で行う場合には、ぜひ年度初めの保護者会で行ってください。
年度初めの保護者会ではPTAの役決めを行うところも多く、多くの出席者を見込めます。

タイトな時間配分ですが、筆者も15分程度に詰め込んだスマホ問題の講演を依頼されることもあります。

ぜひ、短時間でも保護者が聞くことが可能な時間を設けることを検討していただきたいと思っています。

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