人材獲得競争を勝ち抜く大学の戦略とは?

人材獲得競争を勝ち抜く大学の戦略とは?

少子化時代がもたらすもの

日本は先進国の中でも少子高齢化がとくに早く進んでいると言われている。それによる影響はいたるところに広がっており、教育の現場も例外ではない。とくに少子化がもたらしたこととして、「入学志願者の奪い合い」という問題が顕在化してきた。

さて、これは教育組織の話だけなのだろうか。企業の現状を少し見てみよう。

たとえば、ユニクロは数年前から通年採用を実施し、大学1・2年生でも応募できる仕組みをつくっている。昨今、就職活動の解禁時期の変更が騒がれている中、「インターンシップ」による人材確保を本格化している企業も多い。言ってしまえば、人材の「早期囲い込み」戦略だ。Googleは、幼稚園児のためにコンピュータサイエンス教育の支援を行ったり、中高生の国際コンテストを行ったりしている。大学生に限らず、全年齢層から、そして、全世界から、貪欲に人材を発掘しようとしている。

「早期囲い込み」というと聞こえが悪いかもしれないが、現実はそうなっている。そして、よく考えれば、スポーツの世界ではあたりまえに行われてきたことだ。プロ野球のスカウトが中学時代から選手に目をつけたり、海外から優秀な人材を引き抜いたりすることは常識だ。プロサッカークラブが、幼少期に選手をスカウトして育て上げるというのもよく聞く話だ。

世界的な人材獲得競争の時代になれば、世の経営者は、必然的に、国境を越えた「早期囲い込み」を迫られる。

世界基準で「青田買い」を考える

海外大学にはアドミッションオフィサーと呼ばれるリクルーティング専門職員がいる。自国の高校だけでなく、世界各国を飛び回って、優秀な人材に声をかける。言わば、自校のファンを増やす布教活動を行う宣教師だ。

そういったアドミッションオフィサーたちの目は、当然ながら、日本を含めたアジアにも向いている。入試の時期に入学希望者があちらからやってくるのをただ待つという姿勢ではない。どれだけ早く良い人材を、国境の壁の有無にかかわらず囲い込めるかの勝負をしているのだ。

日本の大学は、少子高齢化による国内の大学同士の人材の獲り合いばかりか、海外大学との競争にも勝ち抜かなければならない。そういった状況下では、「青田買いはフェアではない」などと言っている場合ではない。

中国では、高校時代だけでなく、3歳からの習い事の履歴をすべて蓄積し続け、何十枚、何百枚ものサーティフィケート(認定書)を大学のアドミッションオフィサーに提出する人もいるという。

人材の「早期囲い込み」がどこまで早まるかはわからない。ただ、世界の流れは間違いなく、戦略的「青田買い」の方向へ進んでいる。

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