思い出の写真も、毎日のつぶやきも――オンラインの行動がポートフォリオになる時代

思い出の写真も、毎日のつぶやきも――オンラインの行動がポートフォリオになる時代

「ライフログ」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?言葉のとおり、ライフ(人生)のログ(記録)である。2000年中盤ごろから、ブログやSNSが流行し、そこに自身のさまざまな記録(日常生活)をオンラインに残すことで、いまやネット人口すべてのライフログがネット上に増え続けるようになった。

その記録があなたの人生の写し鏡となる

今では一般用語になった「ブログ」。これは、元々はWeblog=Web上の記録から生まれた造語だ。2003年、アメリカのジャーナリストがイラク戦争で活用し始めたころから認知度が上がり、メディア関係者だけではなく、日常的にパソコンを楽しむユーザに浸透し始めた。

そして、ここ日本では2004年にmixiが登場したことでSNS、いわゆるソーシャルネットワークが、パソコンユーザ、さらには携帯電話ユーザにも広がり、誰もが自分の生活をインターネット上に公開し(あるいはつながりのある特定の友人・知人に公開し)、ネットへ情報を上げる行為が一般化した。

これがいわゆるライフログと呼ばれるものだ。

基本的には友人同士、知人同士での情報公開が前提となるが、人によっては毎日定期的に、食事の記録だったり、訪れた場所を公開するケースが多くなってきた。それを促進したのはTwitterのようなマイクロブログ、また、Facebookのようなチェックイン(位置情報)が行えるSNSだ。

その結果何が生まれたか?――ブログユーザあるいはSNSユーザは、パソコンや携帯電話、最近ではスマートフォンを使う一環で、自分の行動履歴を蓄積できるようになったのである。

先ほど紹介したmixiの登場が2004年、つまり、その頃からSNSに日常的に投稿をしていた人は、12年分の自分の記録を、ネットに上げていることになる。これはつまり、人生の写し鏡と言えるだろう。

無意識のうちにログが価値のある記録に

とは言え、誰もが全員、自分の姿をのべつまくなしに記録をする人はいないだろう。大抵は自分の発信したいもの・見せたいもの・話したいものだけを公開するものだ。今回は、その心理的影響が本題ではない。

今やSNSとスマートフォンを使うことで自分の記録、つまりポートフォリオを、誰もが手軽につくれるようになったことを伝えたい。

たとえばこういうシーンを考えてみよう。

夏休みに、外国に旅行する。その期間どこに行ったのか、何時ぐらいに行ったのか、それをFacebookのチェックイン機能を使う。すると何がわかるか?場所と場所の移動にどのぐらいかかったのかがわかる。さらに、位置情報をうまく活用すれば、自分の移動距離がわかる。そして、そこで撮影した写真を保存しておけばEXIF(Exchangeable image file format)という機能により、どこで撮影したかを、オンライン地図にマッピングして見ることができる。

SNSを活用すれば、正確かつ充実した旅行記ができあがるのだ。

ビッグデータ時代到来~記録の積み重ねが価値になる

今の例は、旅という娯楽の場合ではあるが、仮に大学受験を控える高校生の、ホームステイや短期留学だとした場合どうだろうか? その記録を残しておくだけで自分のポートフォリオの基礎ができるのだ。あとはそれに対して、自分が感じたこと、課題と思ったこと、未来につなげたいことなどを付け加えるだけで、れっきとした大学受験のための資料、アプリケーションとして使えるポートフォリオになる。

さらにもう1つ。オンラインを活用するメリットは、他のユーザとのコミュニケーション記録も残せる点である。先ほどの例の続きで、短期留学を考えてみよう。仮に、自分が興味のある分野の講義を受ける機会があり、その記録をSNSに公開したとする。そこで、その分野の第一人者(ここではA先生とする)の目に止まれば、A先生からコメントがもらえるかもしれない。

つまり、単なる記録だけではなく、記録に対して、誰かしらの反応も得られる可能性を生み出す、アクティブなポートフォリオができるのだ。これは紙の時代・アナログな時代では考えられなかったことだろう。そう、思い出の写真も、毎日のつぶやきも、オンラインの行動がポートフォリオになる時代が到来したのだ。

とは言え、行動するのは自分自身

以上、簡単ではあるが、ネット時代の今、ポートフォリオの作成が手軽になったことを紹介した。しかし、忘れないでほしい。ポートフォリオというのは自分の行動の結果に生まれるものである。

たとえ、SNSが普及しようと、スマートフォンが進化しようと、自分自身が行動しない限り、そこには何も記録が残らない。ツールとしてのポートフォリオを魅力的なものにできるか、あるいは、無価値なつまらないものにするのか、それは自分の行動次第ということだ。

もしこの記事を読んでいる高校生がいたら、日常的に使っているSNSやスマートフォンから生まれる価値を高めるために、積極的に行動し、多くの体験をしてもらいたい。

何をすればわからない?ということであれば、インターネットの検索で、自分の地域や知りたいこと、興味のあるキーワードとともに、イベント情報を探してみよう。探すことで新しい出会いが生まれるかもしれない。

あるいは最近リリースされた「World School」のような課外活動に関するイベントをまとめたポータルサイトを活用するのもお勧めしたい。

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