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あなたは解けるか? “問題文がない”入試問題

何はともあれ、こちらの問題を見てほしい。

今話題の、フランスの高等師範学校ENS(École Normale Supérieure)の哲学の入試問題だ。この問題を観た瞬間、何を感じるだろうか? 多くの人が戸惑ってしまったのではないだろうか?

この問題を出題したENSは、フランスの高等教育機関「グランゼコール」の中でも、最高峰の学校だ。入学するためには、高校卒業後、プレパと呼ばれる準備学校で最低2年間の準備をして、ようやく試験に辿り着けるという最難関校。その期間を経て辿り着いた試験問題が、たったの一言、「Expliquer(説明する)」。「説明せよ」でもない。ちなみに与えられた時間は6時間だ。

ケンブリッジ大学の試験問題

一方、こちらは、イギリスの名門ケンブリッジ大学で実際に出題された問題だ。

oxford

設問には「次の詩を分析せよ」とあるのだが、肝心の詩が空欄で、何の言葉もないのだ。印刷ミスかと疑ってしまうこの問題に、受験生たちは面食らったという。

種明かしをすれば、この詩は、誤植ではなく、南アフリカ出身の作家Koos Kombuis氏による、句読点だけで表現された作品なのだ。この問題も、先ほどの「説明する」のように、ほとんど白紙に近い。これらの「白紙問題」は、いったい受験者のどのような力を問うているのだろうか。ここに、「これからの学力」を定義する1つの考え方がありそうだ。このような解釈を加えてはどうだろうか?

問題文が与えられないと動けない人よりも、自ら問題を設定し、動き始める人になれ。

Compasses over Maps(地図よりも羅針盤を)

「Compasses over Maps(地図よりも羅針盤を)」――これは、MITのメディアラボによる、Before Internet(BI)とAfter Internet(AI)で変わった世界の中で生きるための9つの指針のうちの1つだ。描かれた地図がないと行動できない人よりも、自らの羅針盤(志)を行動規範にすることの大切さを表現している。

この記事で取り上げた2つの問題も、実は、進むべき「コンパス(羅針盤)」が試されていたと考えられる。私たちも当惑してばかりはいられない。

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