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コグニティブコンピューティングで考える、この先の教育

先日、科学界に大きな影響を与えるニュースが飛び込んできた。

人工知能が病名突き止め=国内初、白血病患者の治療貢献-東大医科研時事通信

このニュースによれば東京大医科学研究所が臨床研究をすすめる、医学論文2,000万件以上を学習した人工知能(AI)が、医師の診断では明確にできなかった白血病患者の病名を突き止めたという。今回はIBMが開発したAIシステム「Watson」を利用したとされている。

注目を集めるコグニティブコンピューティング

Watsonをはじめ、こうした人工知能の活用の総称として今注目を集めるのが「コグニティブコンピューティング」である。

これは、コンピュータ自身が学習し、考え、瞬時に膨大な様々な情報源から大量のデータを統合し分析できるシステムのこと。コグニティブ(Cognitive)には「経験的知識に基づく」「認知の」といった意味がある。

コグニティブコンピューティングで注目したいことは、コンピュータそのものが学習するという点はもちろん、「膨大な様々な情報」を集計し、大量のデータの統合・分析ができる点だと筆者は考える。

これは人間がコンピュータにはまずかなわない分野であり、この先、その差はますます広がっていくだろう。

データの分析・判断・活用

これまで、とくに日本の教育では「暗記型」「詰め込み型」と呼ばれる、いわゆる教科書や先生から教えられた「事実」を覚え、それを確認するための試験が行われるケースが多かった。

しかし、最近のAO入試をはじめ、単なる暗記だけではない形の教育、人材育成へのシフトが進んでいる。

コグニティブコンピューティングの世界が広がっている今、まさにそれは正しい道筋の1つではないだろうか。つまり、今まで人間が担っていた暗記や記憶という点は、すべてコンピュータに任せ、コンピュータが提示する内容を人間が判断し、決断する、そうした流れがこれからの人間社会に増えてくるはずであり、そのためにも、教育の転換期を迎えていると筆者は考えている。

人間に求められるもの、「質問力」

この先、テクノロジーが進化していけば、課題に対する判断や決断すらもコンピュータが担う時代がすぐ来ると予想できる。

そのとき人間がすべきことはなんだろうか? 筆者は疑問を持つ力、すなわち「質問力」ではないかと考えている。課題があるかないか、その前段として、いつでも何に対しても好奇心を持つと同時に、疑問点も考えてみる。それを俯瞰する。こうした能力を持つことがこれからの人財に求められる能力であり、そのための教育が今、求められているのではないか。

それがまさに本メディアでも注目している「アクティブラーニング」であることにほかならない。

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