情報の授業はコンピュータ教室が中心?

情報の授業はコンピュータ教室が中心?

学校へICT機器が導入され、いまや小学1年生の授業でもパソコンを利活用した授業が行われています。

従来の「さんすう」の授業では、たし算やひき算を学ぶ際に「おはじき」や「ブロック」を動かして学んでいました。
ICT機器を活用した授業では、書画カメラで先生の手の動きを見せ、パソコンでアニメーションを流すなど、子供に興味を抱かせる工夫が取り入れられています。

筆者の居住区では、平成21年度に市内すべての小中学校の普通教室に、大型モニタ、パソコン、タブレット、書画カメラが導入されました。

先生のICT機器利活用が進むと、大型モニタに透明のホワイトボードシートを貼り付け、表示された画面に先生が直接マーカーで書き込むなど、ICT機器と既存の道具の組合せを上手に取り入れる風景を見かけるようになりました。

このように、ICT機器を取り入れた授業を低学年から体験することで、子供たちはITについても興味や関心を持っていくようです。

コンピュータを利用する情報の授業

小学校高学年になると、調べ学習でインターネットを使ったり、調べたことの発表にパワーポイントを使いこなしたり、子供たち自らがIT機器(コンピュータ)を操作します。

学校によっては、タブレットを利用し地域探検新聞を作るなど、小学校の間は創意工夫にあふれた授業が展開されているようです。

さて、小学校から中学校に進むと、子供たちは「技術・家庭科」の技術分野の4分の1もある情報に関する技術として、ITに関わる一連の知識を学びます。

しかし、ある中学校の「技術・家庭科」では“情報に関する技術”で、コンピュータ演習室でWordやExcelといった文書作成や表計算ソフトの利用方法を学んでいました。
定期試験では教科書に“情報に関する技術”の項目があるにも関わらず、授業内で一切利用していないITパスポートの問題集が試験範囲として出題され、用語の意味を理解せず丸覚えで挑むしかなかったという話がありました。

高校に進むと、「情報の科学」か「社会と情報」のどちらかを習いますが、ある高校の「社会と情報」の授業ではコンピュータ演習室でコンピュータやソフトの操作方法を学んでいたにも関わらず、定期試験の出題範囲は普段利用していない教科書からが大半を占めるということが起こっていました。

NHK高校講座の「社会と情報」を見れば、プレゼンテーションなどのコンピュータ演習を用いた表現と伝達を学ぶ項目は、わずかにある程度だということがわかります。

文部科学省の教科書Q&Aに「教科書を使用することが義務付けられています」と書かれているにも関わらず、授業の中心が、教科書を用いた知識習得ではなく、より実践的なコンピュータの操作方法を学ぶ背景には何があるのでしょうか?

子供たちを教える教員について

平成11年の高等学校学習指導要領改訂で普通教科「情報」が新設されて以降、現在では「情報の科学」か「社会と情報」のどちらかを必ず履修することになっています。
この一連の流れは文部科学省の教育課程部会情報ワーキンググループに詳細が書かれています。

2015年に公開された学術論文 高等学校情報科における教科担任の現状では臨時免許状や免許外教科担任についての調査報告がまとめられており、すべての学校において子供たちが「情報」を担当する教員から同様の教育を受けることが困難なのではないかということが伺えます。

教科書の内容が広範囲にわたることを考えれば、市販の解説本も多いソフトの利用方法に絞って授業を行うことが多くなるのも頷けます。

社会が求める新卒学生のコンピュータ操作スキル

大学で提出するレポートは文書作成ソフトで作成することも多く、大学入学前に最低限文書作成ソフトの利用方法を身に着けていることは、もはや必須かもしれません。

さらに、社会に出た新入社員ともなれば、文書作成ソフトで書類や資料作成を行うことができないのは致命傷と言っても過言ではありません。
そうなると、中学や高校で文書作成ソフトの利用方法中心となっている授業の進め方も必要に迫られてやむを得ずなのかもと思えます。。

「情報」の授業に求められるもの

「情報」に関する内容が網羅された教科書があるのですから、学校で学ぶ範囲が、コンピュータ教室の延長線上にあるのは残念です。

もちろん、よりよい授業を行うために試行錯誤されている教員もおられますし、子供たちに「情報」を教える教員向けに、各都道府県の教育センターでも学習指導案を公開しているところもあります。

参考:

このような、現場の教員を支える取り組みや動きが広がって、子供たちに届くことを切に願っています。

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