未来を担う高校生たちのeポートフォリオの使い方[啓明学院高等学校]――みんなの教育改革実践フォーラム2018レポート②

未来を担う高校生たちのeポートフォリオの使い方[啓明学院高等学校]――みんなの教育改革実践フォーラム2018レポート②

前回に続いて、「みんなの教育改革実践フォーラム2018」のレポートをお届けする。

今回紹介するのは、兵庫県神戸市にある啓明学院高等学校の生徒たちによるeポートフォリオの活用事例セッションだ。。

iPadやデジタルを駆使した、これからの授業を実現

同校では、2018年から高校1年生にiPadを提供し、さまざまな授業で活用しているそうだ。

たとえば、国語。古典の授業ではAirDropでデータを配布して共有し、それを使って授業を行う。また、数学では、タブレット上のアプリを活用しながら、数式とグラフをリアルタイムに同期させて説明するなど、黒板とチョークだけでは実現できなかった、ライブ感を盛り込んだ授業になっているとのこと。

他にも、理科では「Quizlet」というアプリを活用したグループワークを実践したり、以前EducationTomorrowでも紹介したように、Adobeのツールを導入し画像編集などを、デジタルで実践することで、これからの社会に適用できる教育が実現できている。

「中でも特徴的なのが英語」と話すのは、同校の井上隆之先生。「英語はこれまでも、多くが文法(英文作成)と会話の2つの授業がありました。iPadやインターネットを活用することで、たとえば、英文作成に関しては、重要な部分の強調や日英翻訳をすぐにできたり、また、英会話に関しては、スライド+音声という形で、従来の授業の幅を広げられています」と、とくに英語に関する授業とiPadを利用したICT教育の親和性について、実体験とともに紹介した。

Feelnoteで高校生活を、もっと豊かに

井上先生から、啓明学院高等学校の今の紹介があった後、同校が現在取り入れ、成果が見え始めているeポートフォリオの活用事例について、同校の学生4名によるプレゼンテーションが行われた。

同校では、今、eポートフォリオの作成・活用に関して「Feelnote」を利用している。

Feelnote
http://www.feel-note.com/

今回は、発表を行う4名がそれぞれ、実際にFeelnoteを利用して、良かったこと・気になったことを、当事者目線で発表する形となった。

皆、自身の高校生活の様子を、ライフログの形でFeelnoteへ記録し、ただ記録するだけではなく、見直すというサイクルを習慣化しているのが印象的だった。これは、企業で言うところのPDCAサイクルにも通ずるもので、高校時代からこの体験を習慣化できることは、これから社会に出ていくにむけて、大きく役立つと筆者は感じた。

中でも、高校生らしいユニークな、そして、これからの教育にとっても非常に良いヒントになると感じたのが、テスト(中間試験や期末試験)を題材に、Feelnoteを活用していた学生の報告だ。

「まず、テストに向けて、自分自身の意気込みをとにかく言葉にして書き込むようにしました。そして、試験が終わったら、その結果と自分の得意分野・苦手分野を結果として記録するように心がけました」と、その学生は使い方を説明した。

1学期、2学期と続けていった結果、自分自身のテストに対する意気込みに対して、気持ちの面だけではなく、気持ちに対しての学習の効果、また、自身の学力の客観的評価ができるようになったというのが印象的だった。

つまり、意気込みがある分、好きな科目や得意な科目に偏りがちな学習を、「Feelnoteを通じて、(学習するという行為を)より俯瞰的に捉えることができ、結果として、自己分析が行え、自身の強みの強化に加えて、弱点克服にもつながった」と、その効果について、実体験の感想として述べていた。

その他にも4者4様で、今の高校生としての声を聴くことができた。

全体を通じて、現在のeポートフォリオ(Feelnote)に対しては、概ね次のようなメリット・デメリットが挙げられていた。

メリット

  • 手軽に扱える
  • 記録したものの見直しと共有がしやすい
  • 書き方の自由度が高い

デメリット

  • 学校内という場での使い方(ルール)の判断が難しい
  • (入力や閲覧に関して)デバイスの電源やネット環境の制約がある
  • 使い始めるにあたっての導入障壁

このような、利用者自身からのメリット・デメリットがどんどん顕在化されることで、Feelnoteをはじめとしたこれからのeポートフォリオの実用性、生み出される効果が高まっていくだろう。

新しい“学校”の形に向けて

わずか45分という短い時間ではあったが、今の高校生たちの“生”の声を聞ける貴重な場となった。

最後にあった質疑応答の時間では、時間をオーバーするほど多くの質問が挙がり、セッション終了後にも多くの聴講者が、発表した学生たちの前に列をなして質問をしていた。ちなみに、聴講者の多くは教職関係者が多く、それほど、今の生徒たちの声を大事に考え、そして、誤解を恐れずに書けば、“生”の声を聞き取れていないことの裏返しとも考えられる。

昭和、そして、平成の学校とは、生徒と先生の関係があり、教える側と教わる側という構図のもと成り立っていた。この構図が悪いわけではないが、ITやインターネットが登場した現代は、改めて、学校の構図を見直す時期なのかもしれない。

今回発表してくれた学生たちのように、ただ教わるだけではなく、自発的に自分自身が学び、さらに、自分を見つめ直すことで、学習の意義が高まるはずだ。また、もっと高められるような場としての“学校”や“環境”を整備し、提供していくこと、それが、教育関係者に求められているように思う。

今回取り上げられたFeelnoteのように、eポートフォリオの活用は、新しい“学校”の形を実現するために欠かせないと筆者は考えている。

Related Post

Other Articles by 馮 富久