学校や地域、PTAなど子供にかかわる大人が関心を持つ話題の「情報モラル」や「情報セキュリティ」について講習会を開催しよう思った場合、どこに依頼すればよいのでしょうか。
筆者が代表を務める子供とネットを考える会では、定期的な勉強会だけでなく依頼を受けて講習会や研修会を行っています。
その際に、「毎年同じ講師に依頼を行うことができないので、どこか紹介いただけますか?」と聞かれることがあります。
もちろん、継続した啓発活動に関わることができればという思いはありますが、多くの学校・PTA行事がある中で、年に1度だけでも最新の話題を聞いて心を引き締めたいという気持ちもよくわかります。
しかし、人権講習会担当のPTA委員の中には「毎年、違う講師を探す」ことを苦痛に感じたり、頭を抱えたりしているといった方も多いようです。
PTA総会の際に近隣の学校が声をかけた講師を紹介しあったり、学校の先生に紹介してもらったりとあの手この手で依頼をしても、「小学校や中学校で同じ内容を聞いた」なんて言われてしまっては気持ちは萎えるばかりです。
企業のCSR活動を活用しよう!
そんな時には、企業のCSR活動を活用を検討してみてはいかがでしょうか。
CSR活動って何をするの?という方おススメなマンガでやさしくわかるCSRには、冒頭こんな言葉が書かれています。
実際にCSR活動を行っている企業のサイトを見てみれば、どのような活動を行っているのか一目で知ることができます。
たとえば、セキュリティベンダーであるカスペルスキーでは「カスペルスキーのCSR」というページを公開しており、大人から子供まで幅広い層を対象としたセキュリティ啓発活動や資料公開を通じて「IT上の脅威から世界を守る」という明確な目的(ミッション)が伝わってきます。
その他にも、携帯電話事業者のドコモや、ソフトバンク、KDDIなども講師派遣や情報モラル講習会メニューを提供していますので比較してみるのもおもしろいかもしれませんね。
このように、依頼する側からすればとてもありがたい企業のCSR活動ですが、残念ながら「どうせ企業の宣伝だけして帰るんでしょ」という先入観を持った意見を耳にすることもあります。
冒頭に紹介した書籍にも書かれていますが、CSRは社会から信頼される会社を作り、企業の価値を判断する物差しとなる取組です。
実際に講習を聞いたりCSR活動に関するページを見たりすれれば、宣伝だけではない取組を知ることもできるのですが、頑なに否定されてしまった場合には、e-ネットキャラバンの活用を考えてみるのもよいでしょう。
e-ネットキャラバンは企業もCSR活動の一環として参加していますが、企業に加えて総務省、文部科学省も協力・賛同する取り組みです。
e-ネットキャラバンを通じて依頼を受けた講演者は同じ資料を使って講習を行うため特定の企業・製品利用を前提とした内容ではなく、「企業はちょっと・・・」という方にも最初の一歩として受け入れてもらえる取り組みではないでしょうか。
情報モラル・情報セキュリティ講習を行っている企業
CSR活動として情報モラル・情報セキュリティ講習の提供を行っている企業の一部を表にまとめました。
企業名 | 対象 |
---|---|
ドコモ | 小学生(高学年)、中学生、高校生、特別支援学校、保護者、教員、シニア |
ソフトバンク | 教員、保護者 |
KDDI | 小学生、中学生、高校生、特別支援学校、保護者、教員、シニア |
IIJ | 小学生、保護者 |
カスペルスキー | 幼稚園、保育園児の保護者 |
デジタルアーツ | 学校、地域、保護者 |
グリー | 小学5年生以上、保護者、教員 |
DeNA | 小学生、中学生、高校生、特別支援学校、保護者、学校関係者 |
LINE | 小学校高学年、中学生、高校生、保護者、教員 |
NTT東日本 | 小学生(3年生以上) |
今回は、情報モラル・情報セキュリティ講習に特化して企業のCSR活動を紹介しましたが、CSR活動の一環として次世代教育や地域支援といった幅広い取り組みを行っている企業は数多く存在しています。
PTAで人権講習会担当を受け持って大変だと頭を抱えるのではなく、情報モラル・情報セキュリティ講習をきっかけに、企業・地域・保護者が手を取り合って共に子供たちの未来を考えていくことができると良いですね。