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“今必要な”クリエイティビティとデジタルリテラシーとは何か?――Adobe Education Forum 2018より

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2018年7月、アドビ システムズ 株式会社が日本に所在する企業の人事担当者を対象とした「新卒採用で企業が重視するスキルについて」の調査を行い、その結果を発表した

アドビ調査、就職人気企業の採用担当者が重視するのは、「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」

このレポートに関しては、同じく7月に開催された「Adobe Education Forum 2018」の同社マーケティング本部副社長 秋田夏実氏によるセッションで詳しく紹介された。今回は当日のセミナーの様子を紹介し、とくに注視された「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」について考察し、新卒採用の観点から教育環境の整備についてアプローチする。

創造的問題解決に必要な6つの能力

この調査では新卒採用における「創造的問題解決能力」の重要度に着目し、検証が行われた。創造的問題解決とは、創造性に富んだ革新的な方法で問題や課題に取り組む手法を意味する。

秋田氏はセッションにおいて、「創造的問題解決能力」は次の6つのスキルで構成されると説明した。


 
秋田氏は、これら6つのスキルが単独で求められるのではなく、複合的、かつ高いレベルで求められるとしながらも、とくに「クリエイティビティ(創造性)」と「デジタルリテラシー」の2つが、就職人気企業で求められるスキルとして顕著だったと、コメントした。

「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」の実際

では、この「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」とは一体何なのか?――それぞれについて考察してみる。

クリエイティビティ――自分から考え、動くこと

まず、「クリエイティビティ」に関して考えてみる。クリエイティビティ、つまり、創造性は0からの発想力、それを形にする実装力の組み合わせであると筆者は考える。例えて言うなら、「何もない状況から、成果を生み出すこと」であり、そのためには「課題発見」と「情報分析」、そして「課題解決」の一連の流れを持つ必要があるだろう。

とは言え、万人が高いクリエイティビティを持っているとは限らない。なので、新卒採用が求める「クリエイティビティ」とは、自発的・能動的に物事を考え、解決するために行動する意識を持てるかどうか、ではないかと筆者は考えている。

デジタルリテラシー――日々アップデートが求められる能力

次に「デジタルリテラシー」だ。こちらに関しては、筆者は具体的に「この能力である」と断言するのは難しいと考えている。

というのも、デジタルを取り巻く環境、とくにインターネットテクノロジーは日々進化するものであり、ときに大きく変化する。そのため、2018年の今は通用するスキルも、2019年には通用しなくなる可能性は大いにある。

そのため、「デジタルリテラシー」は、デジタル環境に慣れ親しみ理解するだけではなく、(テクノロジーそのものの)進化・変化にも適応する感覚、アップデートする意識を併せ持つ能力であると、筆者は考えている。

たとえば、今回紹介した調査結果によれば、就職人気企業の採用担当者が考える「デジタルリテラシー」の中には、文章作成や表計算などの基本ソフトウェアの操作に加え、「イラスト制作や加工」「印刷物の作成」「写真加工」「動画編集」と言った、より高度なスキルを含めているとのことだ。これは、それらを制作するツールの進化によりもたらされた、アップデートと言える。

秋田氏のセッションでも触れられていたが、テクノロジーの進化と社会の変化は、人間を取り巻く環境を大きく変えている。それは新卒採用の現場でも例外ではないということだ。

こうした変化に対応できる「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」、これらの能力をどのように習得させるのか、新卒育成の場である学校教育現場に求められているのは、変化に適応できる、すなわちアップデートする教育環境の整備であろう。

※「新卒採用で企業が重視するスキルについて」
本調査は、アドビが楽天リサーチに委託し実施したもので、日本に所在する企業の新卒採用業務に従事する人事担当者536人を対象に、2018年6月にインターネットによるアンケート調査として実施された。調査対象者には、東証一部上場企業の人事担当者194名、過去に就職人気ランキングにランクインしたことのある企業(以下、就職人気企業)の人事担当者137名を含む。この資料では、「就職人気企業(n=137)」と「それ以外の企業(n=399)」の比較を実施している。

 

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