MINKYO SDGs JAM SESSION、11月26日に開催~非認知スキルからのアプローチで教育改革を促進する

MINKYO SDGs JAM SESSION、11月26日に開催~非認知スキルからのアプローチで教育改革を促進する

前回の記事では、2回目となったMINKYO2030の模様をお届けした。今回は、昨年度のMINKYO2020(2018年開催)、今年度のMINKYO2030(2019年開催)を俯瞰して振り返りながら、根底に流れる部分と教育改革の未来に向けたアップデートについて考察する。

キーワードは「非認知スキル」と「SDGs」だ。

MINKYO2020は新しい価値観に沿った教育への第一歩

ここ数年、教育改革という言葉は、教育関係者ではなくとも、テレビのニュースや新聞で、毎日のように目にし、耳にするようになった。そのような状況において、2018年11月、1回目のMINKYO2020が開催された。

Artを加えてActiveに!みんなで考えるこれからの教育――みんなの教育改革実践フォーラム2018レポート①

このときのメインテーマは「eポートフォリオ」。教育改革の一端を担う入試に関して、生徒・学校いずれもがどのように評価し、選定し、されるのか。そのためのツールとして、eポートフォリオの活用は必須であるという前提のもと、ツールの活用ではなく、その本質として何が重要なのか、について、多くの講師から発表が行われた。

オープニングキーノートを担当した日本アクティブラーニング協会理事長相川秀希氏は、「STEM教育にA(Art)を加えたSTEAM教育が鍵」と述べ、また、同じくオープニングキーノートの公判を担当した日本学術振興会顧問・日本アクティブラーニング協会会長の安西祐一郎氏は、脱ガラパゴスの教育改革に向けてと題したセッションの中で、評価の新指標の開発の重要性を訴えた。

一見、テーマであるeポートフォリオと直接関係がないようにも感じるかもしれないが、相川氏は「(生徒・教員どちらの目線から見ても)Artという一見、直接学問と関わりがなさそうな概念を含めることが、偏見を打ち破り、生徒自身の素の部分を出し、また、学校は生徒の素の部分を評価できる」とした。

そのカウンターとして、安西氏は「価値観の変化により、多様化し、抽象的な表現が増えていく中、これまでのような画一的な試験では生徒の能力が評価できない。そのために、今の時代、これからの時代に合った評価の新指標を開発すべき」と説明したのである。

つまり、eポートフォリオの活用には、eポートフォリオに含まれる生徒自身の個性と、その内容を評価する体制とが合わさることが必要十分条件ということだ。

MINKYO2030は多様性とオープンマインドとイノベーション

そして、今年、2019年9月に2回目となるMINKYO2030が開催された。

入試から変わる、高大社接続で実現する日本の教育改革~みんなの教育改革実践フォーラム2019レポート

2020→2030へいきなり10年増えた背景などは、別途当日のレポート記事を拝見してもらうとして、今回のテーマとなった「入試改革」について触れてみたい。

前年のテーマがeポートフォリオ、今年は入試改革、と、ツールや仕組みが1つのテーマにはなっている。しかし、今回もまた、仕組みが大事ということではなく、学生たちが社会に向けて飛び立つために、時代に合った仕組みの準備が必要だということを、提案や最新事例とともにMINKYO2030では発表された。

前回に引き続き、オープニングキーノートは相川氏、安西氏が担当し、相川氏は「イノベーション」、安西氏は「AI」の観点から、現状の課題と、この先の未来への提言を行った。

また、最新事例には、芝浦工業大学学長村上雅人氏が登壇するなど、今の日本の大学がどのように入試改革に取り組んでいるのか、まさに変革の真っ最中の内容が公開された、生きたセッションが多数用意されていた。

その中でMINKYO2030を通じて感じたのは、日本国内に閉じたり、過去の前例にとらわれないオープンマインド、また、その先にあるイノベーションの可能性を感じ取ることこそが、入試改革、ひいては教育改革につながるという考えだった。

継続することの大切さ

以上、2回のMINKYOの模様を振り返ってみた。言葉としての「改革」「変革」という単語は耳にする一方で、実際は何をしているのか、考え方だけでは理解しづらいものだ。

どのような仮説とゴールを決めているのか、また、実際にどのような事例があるのか、このようなイベントを通じて、具体的な話、現実の話として理解することができる。

もう1つ、筆者が感じているのが、イベントが打ち上げ花火的な取り組みとしてではなく、継続して行われている点にも注目したい。継続することで未来の話はもちろん、過去を振り返り、正しければその先に進むことができるわけで、万が一、過去に過ちがあれば、修正することでただし方向へ進むことができる。

今、教育分野が変革期(ターニングポイント)を迎えているとするならば、MINKYOのように、継続して取り組み、また、そこで集約されたさまざまな経験・知見を共有しながら、関係者が、未来に向けて、現在の課題に取り組むことが大切になるのではないだろうか。

1つの通過点となるMINKYO SDGs JAM SESSION、11月26日に開催

こうした、継続する・永続するという考え方は、今、日本全体でも注目を集めるSDGsにも通ずる指標の1つだ。

そして、MINKYOを主催する日本アクティブラーニング協会が、継続的な取り組みとして、また、新機軸となる、新しい場を提供する。それが「MINKYO SDGs JAM SESSION」だ。

過去2回に取り上げられてきた、「教育」「アート」「新指標」「イノベーション」「オープンマインド」などのキーワードと、先にも紹介したSDGsの考え方を題材に、現在、日本アクティブラーニング協会が取り組む「非認知スキル」のアプローチに、Jazzが持つアートの力を掛け合わせた、2019年最後のMINKYOのチャレンジだ。

開催場所として選ばれたのが都内某所のJazz Bar。タイトルの通り、Jazz Sessionと教育がコラボした一夜限りのライブイベントとなる。

今、教育現場にいて、改革に向けて立ち止まってしまっている方、次の一歩を探している方はもちろん、自分が持っていない「新しい価値観」に出会いたい教育関係者は、ぜひ参加して、未来の教育の1つの形を体験してみてもらいたい。

開催日時 2019年11月26日 18:00開場、18:45開演
開催場所 都内Jazz Bar(非公開)
会費 1万2,500円(税込)
UR SDGs JAM SESSION 参加申込フォーム※先着順
(Visited 322 times, 1 visits today)

Related Post

Other Articles by 馮 富久

TAOの導入で大学入試のDXを推進する立命館大学の今とこれから~第3回 これからの大学入試開発会議レポート

第3回目となる「これからの大学入試開発会議」のテーマは、ずばり「世界標準」 去る2022年7月23日…

視覚障害のある方へのオンライン講習レポート その7(地図アプリ)~ICT活用の現場から㉘

視覚障害(弱視)の方へのオンライン講習について、前回はGoogleマップを選んだ5つの理由について書…