グローバルの波は、学校の先、社会でさらに大きく~千葉祐大氏に訊く、異文化に触れるということ

グローバルの波は、学校の先、社会でさらに大きく~千葉祐大氏に訊く、異文化に触れるということ

今、日本国内に外国文化・異文化の流入が増えている

教育の世界をはじめ、平成の30年間でグローバル化という言葉が一般化し、1つのゴールのように扱われてきた。本メディアでも何度も何度も取り上げてきている。日本から世界へ羽ばたく流れが多く見られてきたが、ここに来て、世界から日本へという流れも見え始めている。

先日公開した「インバウンドのグローバル教育について考える――留学生の受け入れ体制とIT教育の現状」では、IT教育における留学生の受け入れ体制について取り上げた。

インバウンドのグローバル教育について考える――留学生の受け入れ体制とIT教育の現状

今回は、さらにその先、社会人という観点での外国人受け入れの現状とこれからについて考察する。

2018年6月、経済財政諮問会議で「2025年までに50万人超の外国人労働者の受け入れを目指す」と安倍総理大臣が発表した。同12月には、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」)が成立し、さらにその動きは拡張していくと考えられる。

こうした中、学校教育をはじめ、さまざまなところで、日本人と外国人が触れ合う機会が増えていく―――。

今回、一般社団法人キャリアマネジメント研究所代表理事を務め、外国・異文化交流をテーマにした書籍『異文化理解の問題地図~「で,どこから変える?」グローバル化できない職場のマネジメント』の執筆者でもある千葉祐大氏にお話を伺い、日本における異文化交流・異文化理解の現状と、これからの心構えについて伺った。

そもそもとして、日本人は外国人・外国文化との相性は良いと思いますか?あるいは悪いと思いますか?

 
千葉:
外国人(や外国文化)との相性は、けっして良いとは言えないでしょう。

一般社団法人キャリア・マネジメント研究所 代表理事 千葉祐大氏

まず1つ目の理由は、日本はほぼ単一民族の島国で、過去に一度も他民族から侵略されたことがない、という稀有な歴史的背景を持った国だからです。そのため、「察する文化」や「暗黙の了解」といった、日本人同士にしか通じない独自のコミュニケーションスタイルをとるのが習い性になっています。

こうしたノンバーバルなコミュニケーション方法は、外国人にはとてもわかりにくく、「日本人は理解できない」と感じさせる原因にもなっています。

また、これまで日本以外で生活した経験がない人が多いこともあり、日本人の多くは、異文化に「漠然とした怖れ」を抱いています。この点も、外国人との相性を悪くしている遠因になっているのではないでしょうか。

その相性が悪いと思われる部分について、具体的にどういった点(シチュエーション)で感じられますか?

 
千葉:
あるアンケート調査によると、日本に住む外国人の半数近くが「親しい日本人がいない」と回答しています。実際に私が外国人留学生と話をしていても、「日本人の友達ができない」という声を耳にすることがよくあります。

日本人は、相手が外国人となると尻込みして積極的に働きかけなくなってしまいます。加えてホンネと建て前をしょっちゅう使い分けるので、外国人には、「日本人はとてもコミュニケーションがとりづらい人たち」と映っているのです。

これから日本で生活する外国人は激増していきます。このままで良いわけがありません。外国人に対する日本人の意識とスタンスを、早急に変えていく必要があるように思います。

そうした背景がある中、今後、日本国内に外国人が増えてきた場合、どういった心構えが求められるでしょうか。

 
千葉:
とはいえ、日本人には「無節操なまでの受容性」があると私は考えています。最初のうちは不安を覚えたり、慎重になったりしたとしても、最終的には異価値を受け入れ、旧来からあるものとの融合を図っていけるはずです。それだけ日本人は、共感性が高く、異なるものを取り込む能力に長けていますから。

たとえば宗教にしても、クリスマスやハロウィーンでバカ騒ぎをしたと思ったら、正月に神社で初詣をし、お盆には墓参りをするなど、日本では仏教、神道とキリスト教がバランスよく共存しています。ホントに「無節操なまでの受容性」ですよね(笑)

こうした日本人の受容性をもってすれば、外国人との共存に関しても、彼ら彼女らとうまく融合し、現状をより高いレベルに昇華させていくことは十分に可能だと思います。

日本という国、そして、それに紐付く歴史や国民性が、異文化理解に向けて障壁になる部分がある一方で、それを上手に取り込む可能性を秘めているということですね。この動きの中、大人以上に異文化理解の潮流に乗っていくのが、若い世代です。
最後に、今後大学、そして、社会に進んでいく高校生に向けて、異文化と向き合うために必要なこと、メッセージをお願いいたします。

 
千葉:
異文化理解の最も重要なポイントは、相手との「違い」を受け入れることです。価値観や言動の違う人がいてあたり前と考えることが、異文化理解の第一歩と言えます。

そのためには、まず自分から積極的に周りの外国人とコミュニケーションを図っていきましょう。日本人は、相手が外国人だととたんに消極的になってしまう人が多いですが、それではダメ。未知の相手と向き合うことを怖れないでください。

異文化理解度が上がれば、みなさんの適応力やバランス感覚は格段にアップします。こうした異文化経験が、みなさんの将来にとって大きなプラスになるのは間違いありません。

――ありがとうございました。

 

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違いを受け入れ、違いを特別視しないこと

今回は、外国人材コンサルタントとしても活躍する千葉氏に、これからの日本における異文化理解に向けたヒントをいただいた。

インタビューを通じて感じられたのが、「違い」を受け入れることの大切さだ。これからさらに変化が大きくなる世の中で、「違い」を特別視しないこと、そして、自分自身が「違い」を出しながら「個性」を生み出していくことが、未来の人材に求められていく素養となるだろう。

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