2023年には3,000億円越えとも。成長するEdTech日本市場へ参入を始める海外の巨人たち~AWSの教育支援プログラム「AWS Educate」「AWS EdStart」日本語サポートを強化

2023年には3,000億円越えとも。成長するEdTech日本市場へ参入を始める海外の巨人たち~AWSの教育支援プログラム「AWS Educate」「AWS EdStart」日本語サポートを強化

2019年4月25日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社(以下、AWSジャパン)は、教育プログラム「AWS Educate」、また、EdTech(教育技術)分野のスタートアップ企業向けの支援プログラム「AWS EdStart」の日本語対応強化方針を発表した。

「AWS Educate」は2015年から、「AWS EdStart」2018年から日本ではサービスを開始してものを、今回の発表によりさらに対応言語を日本語はじめ10ヵ国語ほど増やすことになった。

2023年には3,000億円越え、成長する日本のEdTech市場

AWSジャパンによれば、日本におけるEdTech市場規模は2023年には3,000億円を超えると予測されている。ここで言うEdTech市場とは、教育アプリや学習プラットフォーム、支援ツールなど、教育・学習を取り巻く市場全体を指す。

本メディアでも取り上げているとおり、日本の教育分野におけるうICT化は年々進んでおり、この予測は妥当な数字ではないだろうか。実際、AWS Educateは、早稲田大学、九州大学、N高校やプログラミングスクールなど、日本国内の教育機関で導入され、AWS EdStartは、Benesse i-Career、Classiといった人材育成企業が導入するなど、実態に伴っている。

民間による教育市場参入の強み

このように、民間企業が教育市場に参入する1つの理由は、繰り返しになるが、教育のICT化が挙げられる。インターネットやITのプロである企業が、教育に最適化したサービスやインフラを提供する流れである。

たとえば、今回取り上げているAWS Educateでは、他のITシステムと同様に、初期開発コストの軽減が実現できるなど、教育現場にとっても大きな効果が期待できる。

発表会では、AWS EdStartの導入事例として、教材アプリ「Think!Think!」を展開している株式会社花まるラボ 執行役員/CMO 德丸晃大氏が登壇し、導入のメリットを紹介した。

株式会社花まるラボでの,オンプレミスとAWSでの開発工数・費用の比較(説明会で配布された資料から)

とくに強調されたメリットは、開発工数・費用の削減だ。オンプレミスで開発する場合、データセンターの選定やサーバ・ネットワーク機材の購入などで、サービス立ち上げまでに3ヵ月の工数と330万円と初期コストが発生する。

AWS EdStartを活用した結果、サービス立ち上げまでに1週間、初期費用は0円となったそうだ。また「サービス開始後も、メンテナンスの効率化、利用者や環境に応じたスケールのを拡張・縮小のしやすさなど、スタートアップには心強いメリットです」と徳丸氏はコメントした。

教育機関やEdTech系スタートアップにとってAWSは強力なパートナー

花まるラボの事例は、教育市場へ参入するスタートアップの場合ではあるが、今後、学校をはじめとした教育機関が、直接、教育サービスの開発を携わることもできる。一方で、そのためには開発リソース、とくに、人材の確保は必須であるが、最も難しい点でもある。

この点について、AWSジャパンでは、AWS Educateでは学生や教員へ、AWS EdStartではEdTech系スタートアップへ、イベント・ミートアップ開催を通したコミュニティ形成支援も展開し、人材育成および関係者同士の情報共有、その先にある業界全体の底上げにも注力している。

AWSジャパンはクラウド企業として、世界でも有数の会社の1つである。教育のグローバライズ化は、教育現場だけではなく、その周辺でも日々進んでいる。これからも変化の大きいITやインターネットテクノロジーを教育現場に導入するにあたり、つねに動向を注視しながら、こうしたパートナーの力を借りることも、教育のICT化促進につながると筆者は考えている。

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