LINEが教育市場へ本格参入~LINE entry体験授業公開

LINEが教育市場へ本格参入~LINE entry体験授業公開

2019年8月19日、東京都新宿区のLINE株式会社(以下、LINE)本社にて、小学生対象のプログラミング学習プラットフォーム「LINE entry」の体験授業が公開された。

LINE entryで使用するソフトウェアは、「Scratch」に似たビジュアル型のプログラミング言語学習環境で、初めてプログラミングをする子どもたちにもわかりやすいように、テキストではなく、ブロックに見立てた視覚的なオブジェクトを組み立てながらプログラミングができる。小学1年生以上を対象としていて、LINE、放送大学、千葉大学が共同で開発した。

LINEが提供するプログラミング学習プラットフォーム「LINE entry」始動
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2869


 
またLINE entryでは、ソフトウェアを使ったプログラミングの授業だけではなく、オリジナル教材の作成や「出前授業」を行い、2020年から必修化される小学校のプログラミング教育を支援する方針だ。

出前授業とは、LINEが認定するプログラミング教育の専任講師が無償で全国各地の学校を実際に訪問し、プログラミングの授業をサポートするプロジェクト。
対応科目は小学校4、5、6年生の算数で、将来的にはその他の科目(総合・理科・家庭科、社会など)への拡大も検討している。

LINEが提供するプログラミング学習プラットフォーム「LINE entry」始動と出前授業の受付開始のご案内
https://linecorp.com/ja/csr/newslist/ja/2019/222

■いつの時代も通用する論理的思考力、問題解決能力の養成が目的

プログラムは「順次」「反復」「分岐」の3つに処理に分割できる、とする「構造化プログラミング」

LINE entryはプログラミングを教えるが、子どもたちを、その言語のみのエキスパートとしてのプログラマ育成が目的ではない。なぜなら、今のプログラミング言語を学んでも、子どもたちが大人になり社会で活躍する将来では、学校で学んだ内容とはまったく異なる知識や技術が必要とされているかもしれないからだ。

LINE entryでは、そんな状況の変化が訪れても、論理的に思考して問題解決の方法を見つけられる能力を養成するため、プログラミング言語の記述のみを追求するのではなく、「構造化プログラミング」の“考え方”を子どもたちが楽しみながら学習できる体験を提供することを重視している。

構造化プログラミングとは、プログラムは「順次」「反復」「分岐」の3つの処理に分割できるものとするプログラミング手法・思考方法で、これまでも普遍的な考え方として必要とされてきた。LINE entryでは、構造化プログラミングの考え方を学び、子どもたちが自分の考えをプログラミングで表現できる能力の養成を意識した問題が作成されている。

■体験授業~算数の知識を応用して、プログラミングで問題を解く

体験授業では、小学5年生レベルの算数の知識を応用して解くプログラミング問題が公開された。

Tシャツの上を動いて直線を描いてくれるカメを操作して、正多角形を描くようにプログラミングする問題。画面右側はLINE entryのプログラミングUI。ブロック型のオブジェクトを組み立て、正多角形を描くプログラムを考える。

先生(千葉大学教育学部付属小学校教諭・ICT活用教育兼校務ICT化実行委員会主任 小池翔太氏)から必要な知識を教えてもらいながら、子どもたちは問題に取り組んでいた。

LINE entryはサードパーティデバイスとの接続が可能で、今回の問題に登場するカメのデバイスもある。プログラムを実行すれば、正多角形を描くようカメが実際に動く。

体験授業には、プログラミング経験のあまりない子どもの参加もあったが、LINE entryはテキストコーディングの際には必要となる文法の知識が求められないビジュアル型で直感的に操作しやすいUIのため、プログラミング自体につまずく子どもは少ない様子だった。しかし、小学5年生レベルの算数の知識も求められる問題なので、4年生以下の子どもは解答に苦労して、周囲にアドバイスをもらいながらプログラミングに取り組んでいた。

算数の知識を応用しながら、構造化プログラミングで紹介された「反復」(くり返す)の重要性を学ぶことができる問題だった。

LINE entryの教材は、文部科学省の学習指導要領に基づき、放送大学、千葉大学とも共同で開発されているので、問題の品質は高く信頼できる。
現在は対象を小学生としているが、今後は中学生高校生と対象を広げていくことも検討中だ。

そして今回の体験授業でも使用されたカメのデバイスのように、プログラミングで動作するサードパーティデバイスも用意されており、子どもたちが「自分のプログラミングが実際に動くこと」を楽しみながら実感できるような工夫もされている。

サードパーティデバイスのAPIはLINE側も積極的に公開して、多くの企業と連携していき今後も増加する方針だ。

また子どもたちだけではなく、現場教師へのサポート体制についても説明がなされた。

LINE entryの現場教師へのサポート体制一覧。

オリジナル教材、ワークシート、学習指導要領にそった学年別の指導案も無料公開しており、現在開発中の「クラスルーム機能」では、子ども一人一人に個別対応した授業進捗の管理や学校内で扱うデータのセキュアな管理などができる。「プログラミング教育に関心はあるが、時間がとれずなかなか取り組めない」という多忙な現場教師へのサポートもしっかりと行う方針だ。

■LINEが教育ICT化に与える影響の大きさ

以上、LINE entry発表会および体験授業の様子をお届けした。

LINEはCSRの一環として本プロジェクトを進めているため、プログラミング学習環境、オリジナル教材、出前授業など、LINE entry内で提供されるコンテンツはすべて無償で提供される。そして、現在開発中の「クラス管理機能」では、学校だけでなく家庭でLINE entryにログインできるようにしたり、親子で取り組めるような問題を配信したりなど、自主学習を充実化させることを目的にした機能の拡充も進めている。

LINE entryの運営は今後、今秋から今冬にかけて設立予定の「LINE教育財団(仮)」に移管して、LINEのその他の教育プロジェクトをすべて総括していくとのこと。これまではLINE株式会社のCSR活動としてさまざまな教育プロジェクトを運営してきたが、財団へ管理主体が移管されることにより、一層教育事業への注力を強めていくことが伺えた。

日本最大のコミュニケーションプラットフォームであるLINEが、教育環境のICT化にどのような影響を与えていくか、今後の展開に期待したい。

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