音声読み上げ機能を活用するためのポイントその3~ICT活用の現場から⑩

音声読み上げ機能を活用するためのポイントその3~ICT活用の現場から⑩

前回前々回ではVoiceOver(ボイスオーバー。MacやiPhone、iPadに標準搭載されている音声読み上げ機能)について紹介した。

実はiPhoneやiPadには、VoiceOverとは異なるもう1つの音声読み上げ機能が標準で搭載されている。「スピーチ」と言われる機能だ。

同じ音声読み上げ機能ではあるが、VoiceOverとはいくつか異なる点があり、それぞれに長所がある。

VoiceOverとスピーチ両方の機能を理解すると、より幅広いユーザに対して音声読み上げ機能を有効に使うことができる。

たとえばスピーチを使うと「常にVoiceOverを使うということはないけど、必要なときはすぐ音声で読み上げたい」といった、痒いところに手が届くような使い方ができる。

使いどころ次第では弱視の方はもちろん、晴眼者も便利に使うことができるスピーチについて今回は紹介したい。

基本はオフになっているスピーチ機能

スピーチはVoiceOverなどのアクセシビリティ機能と同じく、通常はオフになっていることが多い。スピーチの機能を知らないユーザが意図せず使ってしまったとき、トラブルになる可能性があるからだと推測する。

かくいう私も先日カフェでスピーチ機能の確認をしていたところ、うっかり音量が高い状態で起動してしまい焦ったことがある(ああいうときは冷静さを装ってもやはりスムーズに操作できずあたふたしてしまう)。

スピーチの設定画面

スピーチを有効にするには「設定」アプリから「一般」→「アクセシビリティ」→「スピーチ」を開き、「画面の読み上げ」をオンにする。これでスピーチを使用できる。

なお、この手順はiPhone、iPadともiOS 12.4.1時点でのものである。まもなく登場するiOS13と、iPad用のOSとして登場するiPadOSでは「スピーチ」の名称が変わる可能性や、「アクセシビリティ」メニューが「設定」アプリのメインメニューに加わるなど階層に変更がある可能性もある。

そのため設定の手順は今後変更になると思われるが、基本的には「アクセシビリティ」に属する画面から有効にできるはずだ。

スピーチの使用方法

スピーチを有効にしたら、音声で読み上げたい画面を開き「2本指で画面中央上縁から下へフリック」するとスピーチが起動し音声で読み上げることができる。

例としてSafari(ネット閲覧アプリ)から本連載の第9回ページを開き、スピーチで読み上げてみたところ、画面の上から文字や画像(に設定されている代替テキスト)を順に読み上げていった。

スピーチを使用中の画面

スピーチを起動すると画面上にはスピーチに関わるメニューも表示される。前後の項目にスキップしたり、読み上げ速度を変更するなどできる。メニューを非表示にしたい時は「✖」をタップする。

「必要なときにだけ音声読み上げ」できるのが便利

スピーチを使うメリットはなんといっても「音声で読み上げたいときだけ使える」ことだ。

これまでも紹介してきたようにVoiceOverは起動すると操作方法がガラッと変わってしまい、場合によってはとても使い辛くなってしまう。

「常にVoiceOverを使う必要はないが、ネットの記事を読むときは音声で聞き流ししたい」といった場合もあり、スピーチはこうした需要に対して見事に応えてくれる。

「目は見えるが読字障害がある」といった場合にも、文章をスピーチで読み上げることにはメリットがある。文章を文字と音声の両方で追うことにより理解が進む場合もあるのだ。

また、スピーチでは読み上げている箇所の文字をハイライトしてくれる。精度はイマイチなこともあるがこうした便利な機能も備えている。

スピーチの便利な使い方の例としては電子書籍の読み上げだろう。アプリがスピーチに対応していれば、電子書籍の文章をひたすら自動で音声読み上げしてくれる。私も長距離運転中にオーディオブックの代わりとして活用したことがある。

スピーチを利用する上で注意したいこと

ちなみにホーム画面はスピーチでの音声読み上げには対応していない。

また、スピーチの読み上げ精度(画面内の内容を音声で正しく読み上げるか)は、Webサイトやアプリの構造によって異なる。ぱっと見は音声で読み上げられそうな画面でも、思ったより音声で読み上げてくれなかったりするケースはままある。

こういった場合はWebサイトやアプリの管理者にアクセシビリティへの配慮を望むほかないが、要望を出すことで読み上げ精度が改善される場合もある。

「必要なときだけ音声で読み上げ」できる便利なスピーチ。上で述べたように視覚に障害のある方だけでなく、さまざまな人が活用できる可能性があるので、ぜひ多くの方に知っていただきたい。

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