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音声読み上げ機能を活用するためのポイントその4~ICT活用の現場から⑪

これまで数回にわたって、MacやiPhone、iPadに標準搭載されているVoiceOVer(ボイスオーバー)やスピーチなどの音声読み上げ機能を紹介してきた。

iPadやiPhoneでVoiceOverを起動すると、ホーム画面に並んでいるアプリの名前を読み上げたりアプリを起動するといった基本的な操作を、音声を頼りに行うことができる。

一方でアプリの中には、一般的には音声がメインコンテンツではないものの、ユーザによっては音声が主役として利用されているアプリや、アプリの機能の1つとして音声での読み上げが提供されているものもある。

今回はそうしたアプリの事例を元に、これまでとは違った角度から音声読み上げ機能について考察してみたい。

視覚に障害がある人も多く利用している「YouTube」

動画共有サイトとして広い知名度があるYouTube(ユーチューブ)。ご存知のように動画を視聴したり、動画をアップロードしたり共有して楽しめるサービスだ。

ちなみに「YouTubeを利用しているのは目が見える人だけ」と思っている人は多い。かつての私もそうだったが、実は意外にも視覚に障害のある人の中にもYouTubeの利用者は多い。

全盲の人の場合、画面を見て楽しむことはもちろん難しいのだが、音声は聞こえるのでそれを楽しむという声をよく聞く。

全盲の人の中にはラジオなど音声メディアを利用している場合が多い。昔の懐かしいアーティストの歌などを探して聞けるYouTubeもまた、音声メディアとしてよく利用されているようだ。

ちなみにiPhoneやiPadでVoiceOverを利用中は、動画の再生・停止を「2本指で2回タップ」することで切り替えられる。この操作方法を覚えておけばわざわざ再生・停止ボタンを画面の中から探さなくてもよいので、快適に動画を楽しめるはずだ。

機能の1つとして音声での読み上げが提供されているアプリ

主なコンテンツはテキストや動画であるものの、アプリの機能として音声読み上げ機能が提供されているアプリもある。

flier

flier

書籍の要約サービス「flier(フライヤー)」ではビジネス書や教養書などを要約したテキストを読むことができる。またその要約は音声で聞くことができるよう、読み上げ機能が提供されている。

flierの読み上げ機能では再生速度の変更や15秒ずつのスキップ、連続再生などの便利な機能が搭載されている。またこの読み上げ機能は、flierのサイトとアプリ両方で提供されている。忙しくてゆっくり要約に目を通せないユーザでも、移動中に音声で聞くことができれば便利だろう。

10MTVオピニオン

10MTVオピニオン

別のサービスとして、有識者による講義の動画を1話10分程度で視聴できるサービス「10MTVオピニオン」にも、メインの映像とは別に音声で聞くことができる機能がついており、再生速度の調整などが可能だ。

何か別のことをしながら講義を聞くのであれば映像である必要はないし、音声のみの方がスマホなどのバッテリーも節約できそうなイメージがあるため、筆者はこのサービスを動画ではなく音声で利用することが多い。

ちなみにflierと10MTVオピニオンはいずれもサブスクリプション制のサービスだが、無料で利用できるコンテンツや無料での試用期間もあるので、興味のある方はぜひ試してほしい。

まとめ

上で挙げたように、動画コンテンツを映像ではなく音声メディアとして利用している場合や、アプリが独自に音声読み上げ機能を提供している事例は数多くある。

こうしたサービスの中にはVoiceOverの簡単な操作方法を覚えておくだけでより便利に音声を再生・停止できるものや、VoiceOverを使わなくても音声で情報を得られる場合もあり、ユーザにとっては快適に感じるだろう。

一方で課題もある。アプリが独自に提供する音声読み上げ機能の中には、デバイス標準の操作方法でコントロールできない場合があるのだ。

たとえばiPadやiPhone純正のミュージックアプリで音楽を再生した場合、音楽を再生したまま他のアプリを使用していても、画面右上からのフリックで表示できる「コントロールセンター」からいつでも音楽を再生・停止できる。

しかしアプリによってはコントロールセンターからの制御に対応していない場合があり、音楽を再生・停止するために都度アプリを開いて操作しなければならない場合がある。

また純正のミュージックアプリで音楽を再生した場合、仮にこれをイヤホンを装着して聴いていたとする。イヤホンを外すと自動的に音楽も停止するのが通常なのだが、これもアプリによってはイヤホンを外しても音が止まらず、デバイスから大音量で音が流れ続けるという場合もある。筆者も経験したことがあるが、焦れば焦るほど音を止める操作方法が頭から飛んでしまい、あたふたしてしまう。

サードパーティ製のアプリにはできるだけデバイス標準の操作でコントロールできるよう配慮していただきたいところだ。それによってユーザの利便性もアプリの満足度も上がるだろう。もちろんVoiceOverでアプリ内のあらゆる操作に対応してもらえれば言うことなしだ。

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