ウィズコロナの先にある入試を勝ち抜くために~AO・推薦入試オンラインサロン開設

ウィズコロナの先にある入試を勝ち抜くために~AO・推薦入試オンラインサロン開設

2020年、日本だけではなく、世界各国に降り注いだコロナ禍。ここ日本では4月7日に緊急事態宣言が発令され、その後、各地で感染者数の増加は抑えられてはきているものの、今もなお収束の目処は立っておらず、2019年の社会とは一変した日常が過ぎている。

教育分野に関して言えば、日本は2020年度から新学習指導要領による教育がスタートという中での今の状況となった。不安や課題、ネガティブなことに目を向けるときりがないが、一方でこの状況、ウィズコロナ、そして、その先を見据えたさまざまな取り組みが動き出している。

その1つが「オンライン教育」だ。

今回は、オンライン教育の観点から入試の在り方について取り上げ、すでに次年度以降の入試に向けた動きの1つとして、日本アクティブラーニング協会が開設した「AO・推薦入試オンラインサロン」に注目する。

AO・推薦入試オンラインサロン
https://ao-salon.com/

開設の背景や狙い、そして、これからの展開について、同協会理事でもありEducationTomorrow編集長の小菅将太氏、同じく同協会理事 青木唯有氏の両名に、オンラインで取材を行った(本取材は、2020年5月12日、オンラインビデオツールを介して行った。国内の情勢などはその時点の状況である)。

AO・推薦入試オンラインサロンの狙い

「新型コロナウィルス蔓延」という未知の事態と遭遇した中での、AO・推薦入試オンラインサロンの開設の背景、そして、狙いについて伺ってみた。

AO・推薦入試オンラインサロンがこのタイミングで開設できた背景

――教育の世界でも、ICT、そして、オンラインへ一気に風向きが変わる中、このタイミングで「AO・推薦入試オンラインサロン」を開設した狙い、また、このタイミングでサービスインできた理由があれば教えてください。

小菅:
おっしゃるとおり、今の時制に合ったタイミングでオープンに至ることができました。ただ、この状況になったから急いで準備した、というわけではありません。

小菅 将太氏。
日本アクティブラーニング協会 理事
上場企業のSDGs開発推進カリキュラムの構築、および、10,000名を超える社会人・学生の研修を担当。

2020年は、新学習指導要領の導入、さらに具体的な入試改革などが始まり、それらに適した教育を考えていた中、新型コロナウィルス蔓延という、想定外の事態に直面したのです。

私たちはこれまで、新型コロナウィルスの騒動とは関係なく、AO・推薦入試対策の一環として、ポートフォリオプラットフォームFeelnoteを使ったコミュニティの形成、また、円盤型教材(以降円盤)を使った独自の学習指導プログラムを用意し、多くの学校・教育関係の場で、これからの社会に役立つ教育を提供してきました。

そこで、新しい生活習慣である、ソーシャルディスタンスという概念と、Feelnote、円盤を組み合わせたとき、「オンラインサロン」という形へ、最短距離で辿り着くことができました。

答えのない課題が降りかかる今こそ、AO・推薦入試の意味がある

青木 唯有氏
日本アクティブラーニング協会 理事
AO・推薦入試のべ30,000名の合格指導実績をもとに、「非認知スキル」における東京大学との共同研究を担当。

青木:
AO・推薦入試の現状を考えると、従来型の試験と異なり、答えのない課題に取り組む姿勢、プロセス、思考そのものが重要になります。今回の騒動は、まさに答えがない状況で、誤解を恐れずに言えば、社会全体がAO・推薦入試に直面している状況です。

この状況での入試こそ、まさに「真のAO・推薦入試」となるわけで、今まで以上に個人の資質の評価と判断が必須になりますし、それは試験を受ける生徒だけではなく、試験をする学校・教員側にも「評価する目」が求められると考えています。

小菅:
加えて、オンラインという環境は、従来の教育スタイルからするとネガティブな側面から捉えられることもあります。具体的には、時間的制約もなく、他者の目からも離れられるからです。ですから、怠けようと思えばいくらでも怠けられるかもしれません。

一方で、枠がないからこそ、自分の心構えや思考次第で、いくらでも学びを深められ、ひいては自己研鑽を積めます。「自己教育力」が求められる時代とも言えそうです。AO・推薦入試を設置する大学からすれば、どのぐらい自己研鑽をした学生なのか、また、自分たちの大学に適した研鑽をしているか、といった基準での合否判断をすることになりますね。

こうした背景を踏まえ、ウィズコロナ・アフターコロナのAO・推薦入試に向けたものとして、今回のオンラインサロンが存在します。以下動画で、目指すものを紹介していますので、ぜひご覧ください。

既存の教育フローを活かしながらの、2020’sの入試改革に向けて

――すでに先を見据えて取り組んだ円盤やFeelnoteの展開が、変化の大きな時代、さらにウィズコロナという時制にも対応し、さらに新しい教育として公開されたのが、AO・推薦入試オンラインサロンというわけですね。

では、ここではどのような教育、どのような体験を提供するのか、具体的に教えてください。

小菅:
基本の構成として、STEP1~STEP5のプログラムが用意されます。これは1~5までを、たとえば、月曜日~金曜日までの各曜日に置き換えて提供できる内容です。

STEP1では、まず、円盤を使った課題を提供します。我々運営側、教育側からの、1つの課題設定です。そして、STEP2は、STEP1の課題に対する解答とその解説、見解を提供します。

次に、STEP3で、一気に枠を広げます。これからの国際社会では外せない、SDGsのアプローチから、生徒たちには、STEP1/2で見えた課題と解答を咀嚼し、自分なりの研究テーマの設定を行ってもらいます。探究の実践です。

STEP4は、探究した内容を、アートの視点から考察します。ここでは、本サロンのナビゲーターのひとりであり、音楽座ミュージカルの俳優である高野菜々による実践例の紹介が、ボーナストラックとして提供されます。

そして、STEP5では、ここまでのステップの踏まえて、AO・推薦入試により直結した情報・視点を提供します。

このSTEP1~5までを、1つの構成とし、3ヵ月間を1クールとして行います。

青木:
今、小菅が話したような構成とともに、Feelnoteを使うことで、本サロンの結果を自身のポートフォリオとしてまとめられ、他の生徒とのオンラインネットワークの構築、ネットワーク内におけるインタラクティブなコミュニケーションを醸成できます。今後、本サロンのFeelnoteには、サロンナビゲーター以外の有識者にも参加してもらう予定で、そこで、メンタリングをしてもらう機会も提供します。

小菅:
この他、ナビゲーターには日本アクティブラーニング協会理事であり、イメージコンサルタントの麻加真希が加わっています。従来のリアル・対面での入試や面接と違い、オンラインによるものであれば、試験する側・される側ともにディスプレイ越しになります。そこで、オンライン時代にあったパーソナルブランディングはなにか、本サロンではその点もフォローアップできるよう、メンタリングを行います。

そして、最も大事な要素の1つが、SDGsに関する認定を受けたオンラインサロンであることです。本サロンは、国連事務総長特別顧問としてSDGsを策定し牽引するジェフリーサックス博士、Center for Sustainable Development at Columbia University、Millennium Promiseの認定を受けているため、AO・推薦入試における自身のポートフォリオの中に、サーティフィケートの1つとして取り込める強みがあります。

ウィズコロナ、そして、アフターコロナに向き合い、変化し続けること

――非常に充実した内容で、実際に体験したくなるプログラムですね。Feelnoteによるポートフォリオの作成や生徒同士のオンライン交流、メンターによるメンタリングも魅力的です。

最後に、本サロンの今後のロードマップ、また、参加したいと考えている生徒、保護者の皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。

青木:
先ほども述べたように、AO・推薦入試というのは、答えのない試験です。そして、今の状況は、この先どのような変化が起きるのか、試験を受ける子どもたちも私たち大人もわかりません。

ですから、「変化があることがあたりまえ」を前提とし、変化を想定することで、画一的ではない、多様な価値観に目を向けていくことが重要ではないでしょうか。

AO・推薦入試突破を目指す方たちだけではなく、その変化に対して、少しでも興味をお持ちになられた方は、ぜひ私たちのオンラインサロンに参加してみてもらいたいです。

小菅:
AO・推薦入試はここ数年で一気に一般化しましたが、それでもまだまだ大学や学部による格差があります。中でも、物理的場所(地域)による格差が大きいものでした。しかし、今の状況で一気にオンライン化が進み、今後の入試でもオンライン入試が1つの選択肢になると考えられます。

私たちのオンラインサロンも同様で、その地域格差を吸収し、誰もが参加できる環境をご用意しています。

これまで、物理的な制約でAO・推薦入試を避けていた方にも、今の状況を前向きに捉えて、ぜひ出願の検討をしてもらいたいですし、まだ準備できていないという方も、6月1日からの第1期に参加してもらうことで、次の入試に備えてもらえればと考えます。短い期間ではありますが、十分対応できる知識や知見を提供できるサロンであると自負しています。

――ありがとうございました。


以上、2020年6月1日から第1期が始まるAO・推薦入試オンラインサロンについて、サロンナビゲーターである小菅・青木両氏にお話を伺った。

2020年5月14日、日本全国に発令されていた緊急事態宣言は、39の県で解除がされた。しかし、これは終わりではなく1つの通過点であり、学校教育、また、来年以降に向けた入試の世界でもどのような状況になるかはわからない。

しかし、教育の分野で一気にオンライン化が進むことは、間違いのない未来と言える。この変化に対して、まずは先ほど紹介した動画やサイトを閲覧し、さらにもう1歩踏み込んだ教育を体験したい方は、ぜひ、AO・推薦入試オンラインサロンに参加してみてはどうだろうか?

第1期の申し込みは、2020年5月25日までとなっている。

AO・推薦入試オンラインサロン
https://ao-salon.com/

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