株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が運営する「進研ゼミ」では、4月10日より、小中学生を対象にした、自宅でも学校での生活リズムが作れるオンライン教室「きょうの時間割」の無償提供を開始した。
ベネッセは、4月7日に政府から全国7都府県を対象に発令された緊急事態宣言を受け、学校が講じる休校措置延長に対応する方針だ。
「きょうの時間割」で提供されるサービスとは
「きょうの時間割」では、休校中により長時間自宅で過ごす必要がある小中学生たちの健康維持・管理のため、学校での規則的な生活習慣を保てるよう、さまざまなコンテンツを平日の間、一定の時間割にそって配信する。
コンテンツは、「学びに向かうきっかけ作り」を目的にした内容で、今回のオンライン教室に賛同したさまざま分野で活躍する講師たちによる、1コマ30分のプログラム配信も盛り込まれている。

- 朝の会(8:45~9:00)
今回の取り組みの臨時学長を務める「とーやま校長」(お笑いトリオ グランジの遠山大輔氏)から、視聴している子どもたちに向けた挨拶がされ、家にいても集中力を上げるために重要になる「着替え」の必要性など、規則正しい生活を送るためのコツが紹介された。 - 1時間目 国語「ノートの作り方」(9:00~9:30)
講師を務めるのはフリーライターの太田あや氏(『東大合格生のノートはかならず美しい』『東大合格生が小学生だったときのノート ノートが書きたくなる6つの約束』など著)。
重要度に応じた色の使い分けのコツなど、苦手を克服するためのノート作りの方法が紹介された。 - 2時間目 理科「わくわく科学実験」(9:45~10:15)
講師は、YouTuberとしても活躍しているサイエンスアーティストの市岡元気氏。どの自宅にもある「磁石」をテーマにした、理科の楽しさを実感できる実験の様子が配信された。 - 3時間目 体育「おうちでダンス」(10:30~11:00)
講師は、ダンサーのNANOHA氏とIKUMI氏。KAT-TUNや西内まりやのライブツアーに出演した経歴を持つ。運動不足解消のために、自宅でできるダンスレッスンが紹介された。 - 4時間目 自習(11:15~11:45)
学校の宿題などに取り組む自習時間。「春の総復習ドリル」PDF データを、事前登録不要で無償提供した。
1時間目から3時間目のプログラムでは、今後、英語や算数、美術、音楽など他の教科でも、さまざまな講師のプログラムが配信される予定だ。
4月9日に発表されたプレスリリースでは、沖縄在中アーティストのHY(音楽)やモデルのはな(英語)が今後講師を務めることが発表されている。
また休憩中には、長時間自宅にいることでストレスを抱えてしまいやすい子どもを配慮して、自宅でできるストレッチや、家で飼育できるかわいい動物の様子、出されたお題の絵を描くプログラムなど、学習以外のコンテンツも配信している。
最後の帰りの会(11:45~12:00)で、学長のとーやま校長から、午後を有意義に過ごすためのアドバイスがされ、「きょうの時間割」第1回の配信は終了した。
今後は、4/24(金)まで、平日8:45~12:00の間、配信予定だ。
なぜ「きょうの時間割」配信をスタートしたのか
現在流行している新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、3月2日から全国の小学校・中学校、高校及び特別支援学校等では一斉臨時休校になり、さらに4月7日に政府が発令した緊急事態宣言に応じて、都市部を中心に多くの学校が5 月上旬まで休校措置を延長させることになった。
昨今の騒動により、ベネッセにも、全国の生徒から「家にいるからついダラダラしちゃう」「学校の宿題でわからない問題がたまり、勉強が心配」、といった学習に対する“不安”の声が毎日数多く寄せられたという。
そして一斉臨時休校の開始から、ベネッセが行っている定期調査において、小学校高学年(小4~6)の子どもたちの自宅での学習時間が徐々に減少していることや(グラフ1)、保護者のうち、半数以上の方が「学習のペースが作れない」(グラフ2)、「今後の学習習慣を取り戻せるか不安」(グラフ3)といった、子どもたちの学習意欲低下に関する悩みが、時間の経過とともに増加していることが判明した。

この定期調査の結果を受けて、ベネッセは、休校期間中でも「机に向かう習慣」や「学びへのモチベーション」を高めるための学習支援施策のひとつとして、「きょうの時間割」配信を決定するに至った。
手探りの状況下でも、学習支援に奔走するEdTech企業
新型コロナウイルス感染拡大により起きている現在の混乱に対応するため、多くのEdTech企業が、3月上旬の早い時点から自社コンテンツの無償提供など、教育機関への支援活動を盛んに展開していた。
今週、発令された緊急事態宣言を受け、このEdTech企業による支援活動は、より活発に、そして長期的になると思われる。
当メディアでも多くの教育機関にとっての支援につながるよう、さまざまなEdTech企業による支援活動を報じたい。
関連情報
- 「きょうの時間割」
https://sho.benesse.co.jp/cp/sho_online/ - プレスリリース(4月9日発表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000796.000000120.html