視覚に障害のある方へiPad講習をする際に配慮したいこと(機器設定編 その4)~ICT活用の現場から㉑

視覚に障害のある方へiPad講習をする際に配慮したいこと(機器設定編 その4)~ICT活用の現場から㉑

前回は視覚に障害のある方へiPadの画面レイアウトを説明するための機材について紹介した。

ここ数回にわたって、指先という身体的デバイスを活用するポイントについて取り上げてきたが、今回は主に音に関連したiPadの機能やアプリについて配慮しておきたいことをピックアップする。

視覚に障害のある方にとって、音はとくに重要な外部との接点となり、音を頼りにさまざまなサービスを利用したり機能を活用している場合が多い。

逆に言えば音に関する不備があると、視覚に障害のある方にとっては健聴者が思う以上に不便を強いられてしまう可能性もある。ぜひ視覚に障害のある方の立場に立って読み進めていただきたい。

ミュート(消音)の設定を確認

iPadにはミュート(消音)を設定できる機能がある。スマホでもおなじみの機能なのでご存じの方も多いだろう。


 
ミュートを設定する方法はiPadによって異なる場合がある。昔のiPadは側面にミュートの切り替えスイッチ(設定によっては画面の傾きを固定するか否かのスイッチ)が配置されていた。しかし最近のiPadでは側面のスイッチは廃止されている。


 
iPadにおけるミュートの切り替えはコントロールパネルから行う方法に統一された。ちなみにiPhoneでは現在も側面にミュートの切り替えスイッチ(サウンドオン/オフ)が配置されている。

上で述べたように、視覚に障害のある方にとって音は重要な機能であるため、そもそもiPadから音が出ない設定になっていないかを確認することは重要だ。

ちなみに「ミュートはオフになっているのに音が出ない」という場合は、単純にボリュームの音量が一番下に設定されている可能性もある。この場合はiPad側面のボリューム調整ボタンで音量を上げてみてほしい。

音楽のアプリを開いていないのに急に音楽が鳴る現象への対処法

音声読み上げ機能「VoiceOver」を使用していてよく起きるのが、音楽のアプリを開いているわけではないのに、急にiPadから音楽や音声が流れてくる現象だ。

結論からいうと、これはVoiceOverで「音楽や動画を再生・停止する」操作を行った可能性が高い。

VoiceOverで「音楽や動画を再生・停止する」操作は、2本指でダブルタップ。大抵は意図せずこの操作を行ってしまったことで音が鳴り始めるのだが、本人は「音楽アプリを操作していたわけではないのにどうして……?」と困惑することが多い。

こうした場合は焦らず、そのままの画面で構わないので同じ操作(2本指でダブルタップ)を行えば音は停止するはずだ。

上のように「そのアプリを画面に表示していないのに音が鳴る」場合は、音の鳴ったアプリがバックグラウンド再生に対応していることが理由だ。

iOS標準の音楽アプリ「ミュージック」やラジオアプリなどはバックグラウンド再生に対応しているアプリが多い。こうしたアプリは別のアプリを使用していても文字通りバックグラウンドで音声を流せるため、いわゆる「ながら利用」できるアプリとして重宝する。

一方でバックグラウンド再生に対応しているアプリは前述の「音楽や動画を再生・停止する」ジェスチャーで制御できるため、直前に聞いていた音楽やラジオの音声が急に流れ出す場合がある。

あまりないかもしれないが、もし「他人に聴かせるには抵抗がある」ような音声を直前に聞いていた場合にはとくに注意していただきたい。

バックグラウンド再生への対応はアプリによって異なる場合がある

VoiceOver使用中にバックグラウンド再生で再生された音声を停止させる方法として「音楽や動画を再生・停止する」操作方法を紹介したが、中にはこの操作を行っても停止しないケースも有り得る。

それは2つの音声系アプリの使用が重複したときなどだ。

例として、直前にradiko.jpアプリ(バックグラウンド再生対応)を使用したあとで、YouTube(無料版は2020年7月現在 バックグラウンド再生非対応)を使った場合が挙げられる。

この状況でVoiceOverの「音楽や動画を再生・停止する」操作を行うと、「画面に表示しているYouTubeの動画を再生させたいのに、なぜか画面に表示していないradiko.jpの音声が再生される」といった不思議な現象が起こる場合がある。

VoiceOverの「音楽や動画を再生・停止する」操作は非常に便利なのだが、こうしたアプリごとの性質を把握していない場合、摩訶不思議な現象に戸惑うこともあるだろう。

すべての操作方法やアプリの性質を理解することは難しいし必須ではないが、上で紹介した現象が起こり得ることやその原因を知っておくことは、いざというときのトラブルに対応する上で役に立つことだろう。

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