視覚障害のある方へのオンライン講習レポート その5~ICT活用の現場から㉖

視覚障害のある方へのオンライン講習レポート その5~ICT活用の現場から㉖

Microsoftが開発した物体認識アプリ「Seeing AI」は、あたかも自身の目の代わりのように周囲のものを認識したり、音声で読み上げてくれる機能を使うことができる。

そのため視覚障害のある方がこのアプリを利用することで得られるメリットは計り知れない。とはいえその恩恵に預かれるかはSeeing AIを使いこなせてこそだ。

コロナ禍で直接対面が難しい自粛の時期に依頼された、視覚に障害がある方へのオンライン講習。その中で説明したことの一つが、音声読み上げ機能を頼りにSeeing AIを使う方法だ。

今回はVoiceOverを起動した状態でSeeing AIのチャンネルを切り替える方法について紹介する。

なおSeeing AIは2021年2月26日時点ではiPhone・iPadのみで使用可能。Androidは未対応となっている。

チャンネルは画面下に配置されている


 

上の画像はSeeing AIのスクリーンショットだ。基本的には常にカメラにかざしたものが画面に大きく表示される。画面下部の横幅いっぱいにいくつものアイコンが表示されている箇所がチャンネルだ。

チャンネルの大きさは横幅は画面いっぱい。縦幅は画面の10分の1程度。このチャンネルから任意の機能に切り替えて様々な読み上げ機能を使うことができる。

最初はチャンネル内の左端、「短いテキスト」が選択されている状態だ。チャンネルのアイコンが青色(他のアイコンは白色)で、アイコンの下に点が付いているので見た目にはどのチャンネルを使用してるのかが認識しやすい。

視覚障害のあるユーザーでも音声読み上げ機能のVoiceOverを起動していれば、チャンネル部分をタップすると「チャンネル 短いテキスト」のように、現在チャンネルのどの機能が選択しているか音声で理解できる。

ちなみに「短いテキスト」の機能は、カメラに写り込んだ文字を認識してリアルタイムに読み上げるというもの。ハガキや郵便物、紙パックなどあまり大きくないものに書かれた文字を素早く読み上げたい場合などに重宝する。

うまく読み上げるコツは、カメラと対象との距離感を適切に保つこと。遠すぎても近すぎてもうまく認識されなかったり、文字がカメラから見切れてしまう。目の見えない方にとって「距離感を適切に」といっても実際はかなり難しい。読み取る対象に書かれている文字の大きさにもよるし、手書きのようなクセのあるフォントは認識しにくい場合もある。便利な一方で万能ではないことも知っておく必要があるだろう。

チャンネルの切替は一本指で上下フリック

VoiceOver使用時にSeeing AIで別の機能を使用するには、チャンネルから別の機能に切り替える必要がある。

まずは一本指でチャンネル部分をタップする。前述したようにチャンネルは画面下の方に配置されているので、一本指で画面の下の方を触っていけば見つけられる。

VoiceOver使用時に目的の部分を探すコツは、一本指を画面につけたまま動かしてみることだ。通常時(VoiceOverオフ)とは異なり、VoiceOver使用時は一本指で画面に触れると、触れた箇所が何か(アプリ名やボタンのラベル名称など)を随時音声で教えてくれる。文字通り手探りで画面内を探索することができて便利だ。

無事にチャンネルを見つけられたら「チャンネル 〇〇(選択中の機能名)調整可能…」と読み上げるはずだ。これでチャンネルを選択できたことになる。

他の機能に切り替える次のステップは、一本指で上または下にスワイプ(弾く)。これで別の機能に切り替えられるはずだ。ちなみに上スワイプで次の機能、下スワイプで前の機能に切り替えを進められる。

対面でもオンラインでも、見えないものをイメージさせられる説明がポイント

今回はSeeing AIの画面やチャンネルの切替方法について解説したが、できるだけ目の見えない状態でもiPhoneの画面がイメージできるような説明をしたつもりだ。

視覚障害の方にとって、スマホやタブレットの画面を視認することは難しいし不可能な場合がある。そうした人にもアプリの操作方法を理解してもらうには、「画面がどんな状態かが理解できる説明」が何よりも重要だ。

逆に言えば、そうした説明ができれば対面でもオンラインでも問題はない。もちろん場面によっては対面でないと理解してもらいにくいケースもあるが、教える側は画面を視認できない人でも理解でき、操作できるような分かりやすい説明に務めることが大切だ。それができればオンラインの強みをより活かしたサポートが行えるだろう。

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