視覚障害のある方へのオンライン講習レポート その7(地図アプリ)~ICT活用の現場から㉘

視覚障害のある方へのオンライン講習レポート その7(地図アプリ)~ICT活用の現場から㉘

視覚障害(弱視)の方へのオンライン講習について、前回はGoogleマップを選んだ5つの理由について書いた。

今回は実際にGoogleマップの使い方をオンラインで説明したときの様子について紹介したい。

Siriを使うと簡単に目的地を検索できる

マップアプリを使う目的は人それぞれだろうが、相談者からの希望は目的地(今回は職場)までのナビゲーション機能の使い方だった。

まずは目的地の検索から。晴眼者であれば目的地の名称や住所を文字入力することはあまり問題ではないかもしれない。しかし視覚に障害があった場合、文字入力の難易度は跳ね上がる。

弱視の場合はそもそも画面上のキーが視認しにくい。全盲の場合は音を頼りに文字を入力するのだが、操作方法が複雑になったり、単語を区別するための聞き分けに集中力を要する。機器に不慣れなユーザは短い文字列を入力するだけでもかなり大変だ。

こんな場合に重宝するのが声での操作だ。相談者や私が使っているiPhoneには「Siri(シリ)」という音声アシスタント機能を使用できる。

Siriを起動してからiPhoneに口頭で「Googleマップで〇〇まで案内して」と話しかければ、自動でGoogleマップのアプリが起動し、目的地まで設定してくれる。一瞬だ。

相談者にも試してもらったところ、問題なくGoogleマップが起動し、現在地(自宅)から目的地までの設定が完了した。

VoiceOver使用時でも操作可能なGoogleマップ


 
前回も述べたように、Googleマップは音声読み上げ機能「VoiceOver」への対応度も高い。画面を順序通り読み上げていけば必要な項目を確認したり、設定の変更も相談者本人が操作できた。

たとえばGoogleマップで「車」でのナビ設定になっている箇所を「徒歩」での設定に切り替えられた。またナビを開始する前にこれからの道順を、その場で(実際に移動することなく)1つずつ確認することもできた。こうした晴眼者にとっても便利な機能の切り替えを、視覚障害があっても簡単に使えることが大切だ。

このときの説明で唯一引っかかったのは、目的地が近い場所へのナビを「車」で設定した場合だった。なぜかナビがうまく動かず、目的地へ行くためのシミュレーションが作動しない。

原因は目的地が近すぎたことだった。たとえば徒歩1分以内でたどり着けるような近い場所を目的地に設定した場合、ナビが「車」で設定されているとGoogleマップが「すでに到着した」と判断してナビを行わないことがあるようだ。

こうした近場への案内は、ナビの設定を「車」ではなく「徒歩」に設定すると良いだろう。

いかに言葉だけでわかりやすく説明できるかがポイント

話が最初に戻るが、今回のGoogleマップに関する説明は対面ではなく、オンラインで行った。オンラインで説明する場合は、相手の指や画面を直接触ることはできない。画面共有や相談者のiPhoneをこちらから遠隔操作することもなどできないし、まして相談者は視覚障害のある方だ。

そのため指示や説明は言葉だけで行うしかなかったが。それでも相談者からは「よくわかりました」と言ってもらえた。

説明するときに気をつけたのは「こそあど」言葉を使わないこと。「これ」「それ」「あれ」「どれ」などと説明しても、画面の向こうにいる相手には伝わらない。できるだけ具体的な箇所や方向を明示することを心がけて説明したことがよかったのではと思っている。

視覚障害のある方にとっては、対面であっても「こそあど」言葉を使わず説明することが大切だ。「相手がどう説明されたらわかりやすいか」を常に考えて説明することは、オンラインでも対面でも配慮するべき大切なことだと思う。

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