CASIOがオンライン学習プラットフォーム「ClassPad.net」をリリース~ノート、辞書、数学ツール、オンライン授業支援…学習に必要な機能を1つのサービス内に収録

CASIOがオンライン学習プラットフォーム「ClassPad.net」をリリース~ノート、辞書、数学ツール、オンライン授業支援…学習に必要な機能を1つのサービス内に収録

GIGAスクール構想による、国内教育機関のICT環境整備が推進されている。

2021年8月30日、文部科学省は「GIGA スクール構想の実現に向けた端末の利活用等に関する状況(令和3年7月末時点)について(速報値)」で、7月時点における、全国の公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)及び特別支援学校(小学部・中学部)のデジタル端末活用状況の調査結果を公表した。

上記調査結果では、調査対象の1,812自治体等の内、1,742自治体等(96.1%)が、端末を整備完了(※)させている状況が伝えられている。

※「整備完了」とは、児童生徒の手元に端末が渡り、インターネットの整備を含めて学校での利用が可能となる状態を指す。


文部科学省の調査結果を鑑みても、教育現場へのデジタル端末の普及は着実に進んでいるといえるだろう。

今後は、教育現場へ支給された端末をどうやってうまく活用していくのか?端末で利用できるEdTech教材・サービス・アプリの選定や運用について、本格的に検討すべき段階になっている。

しかし、日常業務で忙しい教員が、世の中に数多くあるEdTech教材・サービス・アプリなどの使い勝手を、1つ1つ、詳細まで確認するのは、現実的ではない。

現場に立つ教員には、新しいサービスやツールが次から次へと登場していく状況で、どれを使えば自分の授業でうまく活用できるのか?本音として戸惑っていたり、不安に感じている方も少なくないのではないだろうか。

今回はそんな戸惑いや不安を感じている教員に役立つ、カシオ計算機株式会社(以下、CASIO)から2021年9月にリリースされた、高校6教科対応のオンライン総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」について紹介したい。

  • 公式Webサイト | ClassPad.net
    https://classpad.net/jp/
  • CASIO 【高校6教科対応 総合学習プラットフォーム】ClassPad.netのご紹介 | CASIO Japan YouTubeチャンネル

ClassPad.netとは?

ClassPad.netは「生徒の机上をデジタル化」をコンセプトに、学習に必要なツールやコンテンツが1つに融合されたオールインワンサービス。

「筆記用具」「ノート」「辞書」など、学習時に使用する機能のすべてがClassPad.net内で利用できるので、生徒や教員にとっては、自習時や授業で、教科専用、用途専用など複数のアプリを用途ごとに切り替える手間を省ける。

すべての機能はWebブラウザ上で操作できるので、学校と自宅で使用しているデジタル端末の機種(ノートPC、タブレット、スマートフォン)やOS(Windows、Mac、iOS、Android、Google Chrome OS)が違っていても、インターネット環境があれば、どこからでもアクセスして、同じように使用できる。

ClassPad.netの主要な機能としては以下4つがある。

オンライン辞書機能

CASIOの電子辞書「EX-word」から厳選した高校6教科対応22コンテンツを搭載して、学習時にわからない単語をすぐに検索できる。

教育現場で広く普及している、生徒にとっても教員にとっても馴染み深い辞書が収録されているので、コンテンツとしての信頼性が高い点は大きな特長といえる。

「EX-word」で対応しているオンライン辞書の一覧。辞書など収録コンテンツは今後も拡充する予定。
検索欄でわからない単語を入力すれば、搭載された辞書機能から単語の解説が確認できる。

デジタルノート機能

自由なワークスペースに、さまざまな機能の「ふせん」を貼り、紙のノートと同じ感覚で、オリジナルの学習ノートを作れる。

紙のノートでは付記できないさまざまな情報を「ふせん」として貼り付けられるので、記憶力や思考力の向上が見込まれる。

1枚のワークスペース上に、さまざまな機能の「ふせん」を貼れるので、デジタルツールでも思考力を鍛えられる。
テキストは、デジタル、手書きどちらでも入力ができる。テキスト以外にも、画像やPDFなどのファイル、Webページへのリンク、「EX-word」から引用した単語の解説と、学習時に検索したさまざまな情報を「ふせん」として貼り付けられる。

数学ツール

デジタルノート機能内の1つだが、図形やグラフをかんたんに描けて、描画が完了するまでの動作も視覚的に確認できるので、数学の苦手意識の克服や、受験問題の理解促進が見込まれる。

関数計算をはじめ、円グラフや棒グラフ、三角形や円など図形の描画をかんたんにできる。
関数グラフを描くには、数学ツールの画面上に表示される数字入力キーボードを使用して「y=a・x」と入力すると…
「y=a・x」の関数グラフが描画される。描画後も変数aはマウス/タッチ操作で調整できる。
グラフ以外にも図形の描画もできて、三角形の内角角度の表示などもできる。

オンライン・双方向授業支援機能

教員・生徒間で課題や答案をオンラインでやり取りできて、クラス内のコミュニケーションを円滑にする。

紙の資料・プリントでは手間だった、配布や回収の作業も、オンラインのノート上で対応・完結できるので、大きな時短効果が見込まれる。

先生は生徒の答案を一覧表示で確認できる。オンライン学習プラットフォームなので、オンライン授業にも柔軟に対応ができる。
先生側で課題を作成する様子。デジタルノート機能と同じような操作で課題をすばやく作成して、オンラインで生徒へ課題を配信できるので、双方向授業のスムーズな実施が可能だ。

これらの主要機能については公式Webサイトでも案内されている。

ClassPad.netは、おもに学校現場の教員や自治体、教育委員会向けに販売しており、現在、「デジタルノート機能」は教育機関向けに無料で提供している。

学習をサポートできる豊富な機能があるClassPad.netだが、ClassPad.netを開発・運営するCASIOの教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室 室長上嶋宏氏と須田陽子氏にオンラインインタビューを行い、ClassPad.netの今後の展望についてヒアリングしたので、その模様をお届けする。

カシオ計算機株式会社 教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室 室長 上嶋宏氏
カシオ計算機株式会社 教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室 須田陽子氏

メインターゲットや無料ベータ版の展開~ClassPad.netのサービス概要

ーーー今回2021年9月からリリースされたClassPad.netは高校生を対象にしていますが、オンライン学習プラットフォーム利用のニーズは高校年代に限らないと思います。今後、ClassPad.netの利用対象者を中学生、大学生など、拡充する予定などはありますか?

須田:
今年度は、オンライン辞書機能に高校6教科対応の22コンテンツが搭載されており、高校生向けとして販売しています。

ただ、搭載されている数学ツールは、中学校や大学でもご活用いただいていますので、来年度以降は搭載コンテンツを拡充し、小学校、中学校、大学生向けにも展開していきたいと考えています。

上嶋:
生徒の方には、小・中・高・大学と、学齢が上がっても、ずっとClassPad.netを使用し続けていただきたいと考えています。

高校を卒業して大学に入学した以降も、自分が作成したデジタルノートの記録は引き続き閲覧できる、といったアップデートも検討しています。

ーーーClassPad.netは2021年4月より導入検討用としてベータ版が展開されているようですが、ベータ版の導入数はいくつでしょうか?また今後正式版をリリースした以降の目標導入数はいくつですか?

上嶋:
ベータ版は、現在約300校にお試しいただいています(2021年8月時点)。

私立校でのご利用が多いですが、地域的な偏りはなく全国の学校でご利用いただいています。

また、9月リリースの正式版は、今年度に200校に導入いただくことを目標にしています。

ClassPad.netの現在のプランは弊社Webサイトでもご案内しています。

須田:
学校・教育機関向けに、ただいまデジタルノート機能を無料で提供しています。アカウントも、先生1人からでもお試しできます。

ClassPad.netは、現時点では、学校単位での導入・販売を想定してますが、アカウント単位での販売が可能なため、今後は特進クラスだけのご利用など、各学校様のご希望や事情に、柔軟に対応できるサービスプランも展開したいと考えています。

他ツールにはない差別化ポイントは?

オールインワンサービスならではの利便性

ーーー生徒と教員間で双方向のコミュニケーションができたり、授業での内容をオンラインで記録ができたり、競合となるオンライン学習ツールやプラットフォームは数多くありますが、ClassPad.netが他のツールと比較して優れている特徴は何でしょうか?

須田:
最大の特徴は、オンライン辞書機能などの学習用コンテンツと、デジタルノート機能や数学ツールなどの学習用ツールが、1つの学習プラットフォームとして融合されている点です。

良質な学習用コンテンツや学習用ツールなどは数多くありますが、数学なら数学、英語なら英語と教科専用になっていたり、ノートならノート、辞書なら辞書と特定の機能専用になっていたりして、学習や授業の際に、用途や目的に応じて、複数のコンテンツやツールを使い分ける必要があることも珍しくありません。

そういった“コンテンツやツールの使い分け”は、生徒や先生の方々にとっては面倒に感じられるものです。

しかし、ClassPad.netであれば、デジタルノートでメモを取ったり、辞書で検索したり、数学ツールで図形やグラフを描いたり、とさまざまな機能を1つのプラットフォーム上で使用できるので、教科を選ばず自習にも授業にも利用できます。

収録されたコンテンツの質の高さ

上嶋:
また、学習を効率的かつ効果的にサポートする質の高いコンテンツをClassPad.net上で配信している点も特長です。

教育現場で長年の利用実績がある「EX-word」の辞書機能が使えることは、現場の教員の方々にとってもメリットに感じられると自負しています。

また、電子辞書は授業中に持ち込んでも、他のオンライン検索アプリのように生徒の方が授業以外の事柄まで調べてしまって学習に集中できない、といった事態は避けられるので、授業支援としても効果的な機能です。

それ以外にも、弊社の長年の関数電卓の開発・販売ノウハウを活かして開発した「数学ツール」も、数学の理解促進に役立ちます。

須田:
実は、9月からリリースしたClassPad.netの以前に、「数学版ClassPad.net」という前身となるオンライン学習ツールを2018年から海外で展開していて、2020年6月には日本語バージョンもリリースしていました。

今回2021年9月リリースしたClassPad.netは、この前身ツールの数学機能に、デジタルノート機能を拡充してリニューアルしたものです。

ClassPad.netの数学ツールで利用できる、図形やグラフの描画機能は、前身の数学版ClassPad.net、そして関数電卓に関するノウハウがあったからこそ開発できたものです。

高校生にもなると、数学に苦手意識を持たれる生徒の方も増えると思いますが、ClassPad.netの数学ツールなら、図形やグラフをかんたんに、そしてきれいに描くことができるので、数学の苦手意識の克服に役立ち、受験問題の理解促進が見込めます。

新学習指導要領も意識したさまざまな機能

ーーーデジタルノート機能には、YouTubeの動画にリンクをつける機能もありますね。このような機能を追加した意図は何ですか?
Webページへのリンクをふせんとして貼り付ける機能には、YouTubeへのリンク挿入も含まれている。

須田:
学習していて調べものをする際、参考になるのはテキストだけに限りません。

多様な学習に対応できるように、YouTubeへのリンク機能も搭載しました。

また、高等学校で令和4年度(2022年度)から実施される新学習指導要領では「情報活用能力」が重視されています。

インターネット上の情報も含めて、さまざまな情報を検索、整理、理解して、そして発信する能力を育むことを、国や文部科学省も意識しています。

そのような学習指導要領の動きに対応する意図から、YouTubeへのリンク機能を追加しました。

上嶋:
他にも、2022年度から高等学校で正式科目化される「総合的な探究の時間」(通称、「探究」)では、動画を検索するケースもあるようなので、動画の情報を記録できることは役立つと考えています。

ちなみに、このYouTubeへのリンク機能には、ClassPad.net独自のフィルタリング機能などは付加しておらず、学校で定めているフィルタリングの設定がそのまま機能するように設計しています。

ClassPad.netは、教育機関でも広く普及している商用のクラウドサービス、クラウドサーバーを利用して開発されたオンラインサービスなので、セキュリティ面でも安心・安全な形で使用できます。

海外ではすでに教育事業を広く展開

上嶋:
先の質問で解説しましたが、弊社では海外での教育事業にも注力しており、電子辞書や関数電卓端末を、アメリカをはじめ欧米諸国を中心に販売しています。

とくに関数電卓事業では、100か国以上、年間2,300万台もの端末の販売実績があります。

欧米諸国はICT教育環境整備が日本より進んでいるため、ICT教育先進国である欧米諸国で教育事業を展開することで、ICT学習ツール開発のノウハウを蓄積してきました。

昨今では、GIGAスクール構想や現在のコロナ禍などをきっかけに、日本でもICT教育環境整備が急ピッチで推進されているので、海外での教育事業展開の実績を活かして、ClassPad.netの国内展開を広げることにしました。

今後もClassPad.netはアップデートしていく予定

上嶋:
ベータ版導入校のご利用状況をヒアリングしていると、弊社でも事前には想定していなかったご利用のされ方があると気付いています。

たとえばデジタルノート機能の、先生が生徒の答案を一覧で閲覧できる機能は、導入校の「美術」の先生から「生徒の作品を一覧で確認できて便利」と高く評価いただいています。

今後も現場の方々のご意見を伺いながら、課題を洗い出し、さまざまな機能を追加していくことを検討しています。

また、9月リリース版は高校6教科対応ですが、将来的には6教科以外の教科にも対応させたいです。

ーーー現在、公教育では、「プログラミング」や「情報」などが新教科、新科目として必修化していく流れがありますが、それら新しい教科・科目にも対応していく予定はありますか?

上嶋:
将来的には「プログラミング」「情報」といった教科にも対応する考えはあります。

実は、海外での教育事業において、フランスでは、高校生を対象にプログラミング言語「Python」に対応した弊社製関数電卓端末を販売しており、プログラミング授業を支援しています。

日本にもPythonやScratchなど、プログラミング言語の学習ツール・コンテンツは多くあるので、ClassPad.netでも、他社様のツールやコンテンツと連携しながら、プログラミングや情報などの新教科に対応していくことを検討しています。

ーーー本日はありがとうございました。

教育現場での実績と信頼があるCASIOだから実現できたオンライン学習プラットフォーム

以上、ClassPad.net の概要紹介と、CASIO 教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室 室長 上嶋宏氏と須田陽子氏のインタビューをお届けした。

学校現場では、一旦、新しいICT学習ツールを取り入れると、なかなか別のツールに切り替えることは難しいと考えられる。

その点において今回のインタビューで、CASIOがClassPad.netを「高校年代以外の利用対象者拡大」「対応教科数の増加」「機能面の追加」といった、さまざまな面でのアップデートを続け、ICT教育環境の変化に柔軟に対応していく方針・考えがあることを聞き出せた点は、これからどんなICT学習ツールを新しく導入しようか検討・模索している現場教員にとっても喜ばれるポイントに思われる。

また、CASIOが海外の教育事業展開で蓄積したICT教育ツール開発・販売のノウハウを、今後のClassPad.net日本国内のサービス展開で、どのように還元していくのかも注目できるポイントに感じる。

教育現場における長年の実績と信頼があるCASIOからオンライン学習プラットフォームが販売されることは、大きな期待を集めるだろう。

当メディアでは、今後も激しい変化が訪れるICT教育環境に対応しようと奔走する教育関係者に役立つ、さまざまなコンテンツやツールを紹介していきたい。

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