【私塾界6月号】早慶大入試〈第2弾〉 SDGsシアターラーニングプログラム 完全公開!

【私塾界6月号】早慶大入試〈第2弾〉 SDGsシアターラーニングプログラム 完全公開!

学習塾や予備校の経営者をメインターゲットとした情報誌『月刊私塾界』。
『月刊私塾界』では、全国の学習塾にとって有益になる情報を、「塾・企業」「教育ICT」「地域教育」「受験」といったテーマにて、数多く紹介しています。

『月刊私塾界』で紹介される情報は多岐にわたり、それらは学習塾や予備校の経営者だけに限らず、教員、EdTech企業、教育委員会など、教育業界に携わる者なら誰にとっても役立つものです。
EducationTomorrowでは、今回から月刊私塾界に掲載された注目すべきニュース・トピックを、転載します。


【私塾界6月号】早慶大入試のSDGsシアターラーニングプログラムとは

5月号(前月号)にて公開した記事「重大速報:早慶の最新大学入試問題を読み解く重要なカギとは?」をお読みいただいた読者の皆様より、想像を超える多くの反響をいただき、誠にありがとうございました。「早慶入試に対する理解が深まった」「これまで自塾では早慶受験を積極提案していなかったが、考え方が変わった」「より一層、早慶に強くなるにはどんな対策が有効か教えて欲しい」などといった声をいただいたことを受け、本稿では急遽、サマデイグループ(本社:東京都千代田区・相川秀希CEO[日本アクティブラーニング協会理事長])が開発する独自の人財開発プログラム「SDGsシアターラーニング」における「早慶編〜Failure is the Greatest〜」の内容を、特別公開いたします。(文責:日本アクティブラーニング協会)

受講者から届いた一通の手紙

2022年3月、弊協会に一通の手紙が届いた。前述の「SDGsシアターラーニング早慶編〜Failure is the Greatest〜」を過去に受講した学生からの便りだ。

このシアターラーニングは、元を辿ると、企業の人財開発プログラムがベースになっている。頭で理解しても行動に移せないという研修特有の悩みを打開すべく、特許プログラムである「SDGsカリキュラム」と「舞台芸術のメソッド」をふんだんに取り入れて、体感型のワークとして体系化した。この早慶編のプログラムには、文字通り、早慶大を志望する多くの高校生が参加するのだが、ワンウェイに受験知識を詰め込むような講義型のプログラムではないため、参加者は、極めてアクティブな状況下で早慶大入試の本質理解を深める3時間を過ごすことになる。

今では、STEAM教育などと言われ、教育におけるアートの重要性に注目が集まっているが、開発の当初は全く違った。「舞台芸術と教育の融合」と言ってもなかなか理解されなかったのが現実だが、ひとつだけ、多くの塾・予備校の経営陣たちが、直感的に理解してくださることがあった。それは、舞台芸術の世界でよく言われる「Show must go on.(一度開けた幕は決して下ろさない)」という考え方についてだ。これは企業経営においても、サービスとして展開する受験においても、普遍的に通底する思想だったからだ。

プログラムの中では、よく「一度きりの本番」というキーワードが使われる。常に、どの瞬間も、本番と同じマインドセットを自らに課さない限りは、いつまでたってもリハーサルの領域を超えられない。だからこそ、シアターラーニングの中では、常に思いっきり挑戦することが求められる。

それでは早速、本邦初公開、本プログラムの「3つのステージ」を見ていこう。

【ステージ1】早慶志望者に問う「生き方の発明」とは?

一つ目のステージで学生が直面する課題(SDGsカリキュラム)は、こちらだ(【図1】参照)。

【図1】ステージ1 実際に使用する「円盤型教材」

読者の皆さんだったら、どのような解答を出すだろうか。ここでは実際の解答について言及することは控えるが、たいていの場合、あるひとつの重要な学びの論点が炙り出される。それは「問いの題意をキャッチすることがいかに重要か」ということだ。仲間の解答のプレゼンテーションを聴きながら、「表明」はしているが「発明」していない解答などが出てくると、そのちょっとした違和感をシェアしながら、自分達のあるべき姿を自ら軌道修正していく。同じ舞台に立つ共演者が、相乗効果で良き方向に向かっていくというのが、SDGsシアターラーニングの最大の強みだ。

ちなみにこの問題文中に太字で掲載されている「正しさとは果たして何なのか?」という問いは、本年の慶應志望者にとっては、ある種の「的中」となった。文学部の小論文課題に、ドイツの社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスによる、「正しさの再構築」に関する文章が出題されたのだ(【図2】参照)。

【図2】慶應義塾大学 文学部 小論文課題

【ステージ2】特別に演じられる大隈・福澤の懐古談から学ぶ

ステージ2は、プロの舞台俳優たちによる、〈特別なワンシーン〉を鑑賞するところから始まる。貴重な文献と史実をもとに執筆された台本には、大隈重信と福澤諭吉の「初めて明かされる真実」が克明に表現されている。実際のシーンは、両翁を明治4年の暮れに出会わせた雑誌編集長役の俳優と、その編集長にインタビューをする架空の新聞記者役の俳優とが対話する形式で進行するのだが(約15分間)、本日は、その貴重なスクリプトの冒頭の一部を、ここで公開しよう。

この懐古談のシーンを通じて、参加する受験生は、早慶の創設の理念や原点的なアドミッションポリシーに深く浸ることとなる。言うならば、心を震わせる感動体験そのものだ。その上で取り組むのが【図3】に示した円盤型教材だ。

【図3】ステージ2 実際に使用する「円盤型教材」

この円盤型教材では、多くの参加者が、早慶大を目指す受験生としての使命感を吐露することになる。早慶の次の歴史を紡ぐひとりとして、自分自身が何を決意するのか。そして、今の自分に足りないものは何なのか、自分自身の言葉で語る様子が印象的だ。

【ステージ3】早慶の「校歌」「塾歌」から真の志望理由を紡ぐ

そして、いよいよ迎えるステージ3では、早慶それぞれの「校歌」「塾歌」に触れていく。【図4】に示した実際の円盤型教材を見てほしい。

【図4】ステージ3 実際に使用する「円盤型教材」

校歌や塾歌に込められた大学の理念を噛み締めながら、そのポリシーと自分自身の思いを完全に重ね合わせていく学生の姿がなんとなく想像できるだろうか。このステージ3は、プロの舞台俳優による歌唱などを交えながら進行していくのだが、最後には、参加者全員で未来の早慶戦を先取りするかのように、校歌・塾歌を大合唱するような状況になる。ちなみに、本プログラムで学んだ学生の中からは「実際に面接で塾歌を歌ってきましたよ!」と言って合格報告をしてくれる学生もいる。

学びの大河ドラマを塾の現場から生み出す

さて、本稿では、あえてプログラムの全体像を克明に追ってきたが、その意図は、単なるプログラム紹介だけにとどまらない。というのは、こういったシアターラーニングは、実際に本プログラムを導入いただいた、さまざまな塾・予備校の現場の中でこそ進化・発展してきたものなのだ。「新しい教育の価値は、常に塾・予備校の土壌からお陰様で生まれてきた」という表現が正しいかもしれない。中には、自塾のニーズに沿ったプログラムを新たに開発してほしいという要望によって生まれた新規プログラムもある。「プレゼンテーション編」「国公立大学(旧七帝大)編」「海外大学進学(オールイングリッシュ)編」「医学部メディカル編」「SDGs(星の王子さま)編」「大学入試予言劇場編」「面接・面談の達人(オードリー・ヘプバーン)編」などがそれにあたる。

こういった寄稿を通じて、また新たな学びの価値を先駆的に生み出す仲間と出会いたいという我々なりの本意を、文末に添えておきたい。

※本記事は『月刊私塾界』2022年6月号からの転載です。

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