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【私塾界7月号】「0」から「1」を生み出す探究心を育み、真の進路発見を実現する教育プログラムとは?

学習塾や予備校の経営者をメインターゲットとした情報誌『月刊私塾界』。
『月刊私塾界』では、全国の学習塾にとって有益になる情報を、「塾・企業」「教育ICT」「地域教育」「受験」といったテーマにて、数多く紹介しています。

『月刊私塾界』で紹介される情報は多岐にわたり、それらは学習塾や予備校の経営者だけに限らず、教員、EdTech企業、教育委員会など、教育業界に携わる者なら誰にとっても役立つものです。
EducationTomorrowでは、今回から月刊私塾界に掲載された注目すべきニュース・トピックを、転載します。


【私塾界7月号】「0」から「1」を生み出す探究心を育み、真の進路発見を実現する教育プログラム

本誌にてこれまでご紹介してきた「SDGsカリキュラム〈円盤型教材〉」に対して、読者の皆さまより多くの反響をいただき、大変ありがとうございます。「実際にこのカリキュラムを活用した効果は?」「近年大きく変化する受験に対して、どのような意味を持つのか?」など、〈円盤型教材〉の学びが未来にどのようにつながっていくのかという観点で、数多くのご質問をお寄せいただきました。このことを受け、今月号のHOT TOPICSでは、これまでサマデイグループ(本社:東京都千代田区・相川秀希CEO[日本アクティブラーニング協会理事長])が実践してきた「現役合格指導」の中から、「SDGsカリキュラム〈円盤型教材〉」を起点に進路を発見し、見事、現役合格を勝ち取った「3人の先輩例」を特別公開いたします。(文責:日本アクティブラーニング協会)

本稿をお読みいただくにあたって

まずは、本稿をお読みいただくにあたって、【図1】として、一題のSDGsカリキュラム〈円盤型教材〉を掲載する。皆さんご自身の解答を、何となく思い描いてみてほしい。

【図1】

1枚の「円盤型教材」から始まる進路発見のストーリー

学生が生み出す解答は、実に多種多様で驚かされる。円盤型教材には、その解答者の個性や人間味が溢れ出るのだが、実際にカリキュラムを導入された塾の先生方からも「普段はなかなか意見を出さない塾生の意外なメッセージが聞けて嬉しい!」と喜びの声をいただくことが多い。

このSDGsカリキュラムは、定点観測的に正解のない課題に向き合うことで「非認知スキル」を育むプログラムだが、円盤解答のあとに続く独自の「進路発見探究ワーク」によって、本人がなかなか口にしない真の関心事を引き出し、意外な進路を発見するという効果も生むこともできる。このワークは、次のようなシンプルなプロセスだ。(【図2】参照)

【図2】探究ワークの流れ

ちなみに、この《ステップ④》に、学習者一人ひとりが「ポートフォリオ」を創るというフェーズがあるが、我々サマデイグループでは、この「ポートフォリオ創り」を、進路の発見における最も重要なプロセスとして位置付けている。ポートフォリオというと、一般的には、一部の「総合型選抜(旧AO・推薦入試)」を受験する受験生だけのだと思われがちだが、それは大きな誤解だ。大学との真のマッチングを図るために、受験生の真の興味関心を引きだすことは、受験方式を問わず極めて重要なのだ。

それでは早速、この「進路発見探究ワーク」によって、実際の大学入試の出願資料(ポートフォリオ)をまとめ上げた高校生の貴重な実例をご覧いただこう。

進路発見事例①映画好きのAさんが発見した「法学部」への道

1人目の先輩は、慶應義塾大学法学部にFIT入試で合格したAさんだ。

彼女の進路発見は、「映画が大好き」という何気ない趣味から始まっている。この円盤型教材を解答した時に、映画好きの彼女が最初に着眼したのは、「モノクロフィルム」というキーワードだった。まずは徹底的に調べてみようということで、この「モノクロフィルム」に関する探究を進めると、あっという間に「映画を製作するプロセス」について詳しくなったようだ。そして彼女が問題文の中にもある、女優:ジュディ・ガーランド」についてリサーチした時、新たな探究視点が見えてきた。それは「女優たちの人権」という視点だ。ジュディ自身が、当時のハリウッドの圧力によって、過剰な薬物投与で痩せることを強いられていた事実にショックを受け、「人権」そのものについて深く興味関心を抱くようになったのだ。

このことが鍵となり、変わりゆく世界の中で、法規も変わっていくということに関心を抱き、最終的に「日本国憲法が規定する権利について」という研究テーマを見出すことにつながっていった。

周囲の大人たちからは、単なる映画好きの高校生が、なぜ法学部を選ぶのかと不思議がったようだが、1枚の円盤型教材をきっかけに深い探究を進めた結果、彼女は自分の真の研究テーマを発見したわけだ。ちなみに、このことをSDGsのテーマにあえて紐づけるならば、16番の「平和と公正をすべての人に」となるだろう。ここで、彼女が《ステップ④》として制作した実際のポートフォリを掲載する。(【図3】参照)

【図3】

進路発見事例②音大志望のBさんが発見した「コンピュタサイエンス」への道

2人目の先輩は、電気通信大学(Ⅰ類)に一般入試で現役合格したBさんだ。

Bさんは、円盤型教材から始まった探究によって、とても重要な進路発見をしている。もともと「音楽」に興味があり、自らピアノを演奏するBさんは、消去法的に、音大に進学することをイメージしていた。そんな矢先、この円盤型教材に出合い、新たな道を発見したのだ。

Bさんが最初に着眼したのは「オズの魔法使」という映画タイトルだ。何となくこの「オズの魔法使」のテーマ曲が、かの有名な「Over the Rainbow(虹の彼方に)」であることを知っていたBさんは、この映画音楽の歴史や、権利の変遷、そして音楽が世界に普及するまでのプロセスに探究視点を落とし込んでいった。

この探究のプロセスがきっかけとなり、Bさんは、自らが演奏家として生きていくだけではなく、音楽普及のためのシステムを開発する道もあると視野を広げることができた。その結果、電気通信大学のⅠ類(コンピュータサイエンス)を志すようになり、見事現役合格を勝ち取った。ちなみに、彼の研究テーマをSDGsのテーマで理解するならば、9番の「産業と技術革新の基盤をつくろう」となるだろう。彼の実際のポートフォリを掲載する。(【図4】参照)

【図4】

進路発見事例③音大志望のCさんが発見した「コンピュタサイエンス」への道

3人目の先輩は、早稲田大学政治経済学部にグローバル入試で現役合格したCさんだ。

Cさんは、3人兄弟の末っ子で、既に大学(経済学部)に進学している兄弟の影響で、何となく経済学に興味を持っていた。しかし、心のどこかで、経済学部を選ぶ確固たる理由もないことも自覚していた。そんな中、この円盤型教材を解き、一気に自分の研究テーマを発見するに至ったのだ。

Cさんが最初に着目したのは、円盤型教材の設問にある「靴の価値」のストーリーだった。一度決めたら猛進するタイプのCさんは、とにかく「人の価値の決定プロセス」について徹底して探究していった。すると、「神経経済学」という神経科学と経済学が融合した学際的な学問領域が存在することを発見し、第一志望の学系に対して確信を持てるようになっていった。ちなみに、価値の基準の置き方そのものを先進国に合わせ、無意識のうちに「逆差別」の問題を引き起こすことなどを考えると、Cさんの研究テーマを、SDGsの1番の「貧困をなくそう」や、10番「人や国の不平等をなくそう」といった切り口で捉えることも出来そうだ。彼の実際のポートフォリを掲載する。(【図5】参照)

【図5】

大学は受験生の「心からの言葉」を待っている

本稿の結びにあたって、大学から高校生に届けられた一通の手紙を紹介する。AO入試の生みの親である慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)では、2011年から「未来構想キャンプ」というイベントを高校生向けに実施している。これは、SFCを目指す高校生が、SFCの教員や在学生達と触れ合い、様々な知的活動を共にする、研究ベースのオープンキャンパスのような企画だ。毎年、多くの高校生が応募するため、参加するだけでもかなりの倍率を乗り越えなければいけない。応募にあたって、なぜ未来構想キャンプに参加したいのかという主旨の志望理由を提出するのだが、今から紹介する手紙は、この応募審査に落選してしまった学生に対する、慶應義塾大学から届いた手紙だ。(赤枠は補筆)

いかがだろうか。大学入試が多様化する中で、受験生に対する志望理由の指導などが増えてきているが、大人の入れ知恵によって作られた志望理由や、第三者からの借り物の言葉で塗り固められた出願書類など、大学は一切求めていない。受験生が自ら興味を抱き、自ら探究し、少し不恰好であったとしても、自分自身の言葉で表現された希望のメッセージに触れたいと大学は切に願っているのだ。この「SDGsカリキュラム〈円盤型教材〉」による学びの体験が、受験生のリアルなメッセージを引き出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはない。

※本記事は『月刊私塾界』2022年7月号からの転載です。

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